『楽園』の肖像
〜第二話から数年後〜
ルークはジェイドの執務室でお絵描きをして遊んでいた。 色取り取りのクレヨン。 青色の消費率が一番高いのはこの街に住む以上、そして彼の環境上仕方の無いことだろう。 専用のラグマットの上から乗り出し、床に広げた画用紙に思いのままに色を重ねていると軽いノックの音がした。 ルークはきょとんとして扉へと視線を上げたが、しかし彼の保護者であるこの部屋の主ならノックはしないし、もう一人の保護者ならそんなこともせず入ってくるだろう。 コンコン。 しかしノックの音はもう一度響いた。 ルークは首を右に左にと傾げながら扉の前に立つ。 「だあれ?」 相手の名前を聞かずに扉を開けてはいけない。そう教わった事を忠実に守り、子供は問いかける。 応えはある意味予想外の声だった。 「??」 ?を幾つも飛ばしながら扉を開けると、やはり思ったとおりの人物がにこりと人懐こい笑みを浮かべてルークを見下ろしていた。 しかし男はいつものゆったりした服ではなく、この部屋の主と同じ青い軍服をきっちりと纏い、長めの髪も後ろで縛っていた。いつも彼がつけている左側だけの水色の髪飾りも無い。 「??ピ…」 その名を口にしようとして、男が立てた人差し指を口元に当てたのでルークは黙り込んだ。 それに満足したように男は笑みを深め、「はじめまして」とルークの大好きな声で告げた。 「私はラズワルド・アウイン大佐です。よろしくお願いします」 何がなんだか分からなかったが、とにかくまた彼が楽しい事を考えている事はルークにも分かった。 「ラズとお呼びください。ルーク・バルフォア殿」 しゃあしゃあとのたまう男に、ルークはまた怒られちゃうよ、とくすくすと笑った。 *** お分かりでしょうがピオニーです。 陛下は任務と称してルークをグランコクマの外に連れて行ってあげたいんです。ジェイドにやらせろよという感じですが、自分がやりたいんです。自分も行きたいんです。一石二鳥作戦。(爆) 当然この後、ジェイドにこっぴどく説教されますヨ。 |
拍手ありがとうございましたvv