アビドレ現代7.5
〜ユリアシティ〜
ガイは抱えていた青年をベッドの上に横たえた。 焔の色を持つ彼はぐったりと目を閉じ、血の気の引いた顔を譜石の灯りに晒している。 頬に一筋の赤が走っていた。 アッシュの切っ先が掠めたのだろうか。 それとも、あの崩落の際、傷つけたのだろうか。 幼く縋るような瞳が脳裏に焼きついている。 しかし自分はそれを跳ね除けた。ただ覚めた目で見返した。 「…ルーク」 そっと呼びかけてみても反応はない。 しかし始めから応えを期待していたわけじゃない。 ただその名を呼びたかったのだ。 自分にとっての「ルーク」が誰であるのか、それを確かめるために。 ルーク・フォン・ファブレのレプリカ。 これはレプリカだったのだ。 口元に笑みが浮かぶ。 あの小賢しい子供はアッシュの方だった。彼が本物のルーク・フォン・ファブレ。 そう、アレがファブレ公爵の本当の息子。 「…辛かったろうに」 その髪を優しく撫でてやる。今までない自愛に満ちた眼差しで。 盲目的に信頼していた師に裏切られ、捨てられ、そして自らのアイデンティティまで砕かれた子供。 「…でも、これは仕方ないんだ」 語りかける口調は何処までも優しい。 「ずっと俺だけを見ていたのに、ヴァンが来てからお前はヤツばかりに懐いて」 何処までも柔らかなその声音。しかし口元は三日月のようにその両端を持ち上げて。 「だからほら…罰が当たっただろう?」 前髪をさらりとかき上げ、その額に唇を落とす。 「さあ…戻っておいで…俺のルーク」 くつくつと楽しそうな笑みが、微かに響いた。 ***** アビドレのガイ様の上にはキチがつきます。にこ。 そしてルークが目を覚ます頃には奴隷ルークなのでアッシュしか見てません。(笑) キチの炎が燃え上がっちゃうよ?!(知らん) |
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