プランツ
〜アインスの場合〜
私の名はアインス。 アインダルバス・ラル・キムラスカ・ランバルディア。 このキムラスカを治める者である。 そして妻の名はエル。エルーシャ・オニス。 緋色の髪と翡翠の瞳を持つ、いまだ少女と見まごうばかりの女性。 「アデミルはどうした」 その妻に息子の行方を問えば、彼女はくすくすと笑みを洩らした。 「お母様が連れていってしまったわ。今頃どこかでお茶でもしているんじゃないかしら」 妻のそれが伝染したように私も笑みを洩らす。 「やれやれ、取られてしまったな」 「あら、それはアデミルが?それともお母様?」 「どちらも、だな」 大げさに肩を竦めて答えて見せれば、彼女は一層笑みを深めて私の眼を覗き込んだ。 「お母様は貴方の初恋の人ですものね」 その翡翠が茶目っ気に揺れているのに私は苦笑する。 「余り苛めないでくれ」 「あら、苛めるだなんてとんでもない」 そう笑う彼女こそ、何よりあの方を慕っている事を私は知っている。 「所詮アデミルは私とお前の息子、ということか」 諦めたように呟くと、妻は可笑しそうに声を上げて笑った。 ***** プランツ子供編、アデミルの父親でありエルーシャの夫であるアインスの話。 アデミルは一人っ子じゃないです。 妹が居るということ以外は特に細かいことは決めてないです。 |
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