プランツ
〜シシィとリジィ、アビーとウィルの場合〜
| ハァイ、ご機嫌麗しゅう〜。 あたしはシェツァーリ・メトゥ。シシィって呼んでね。 で、私の隣でムッツリしてるのがブリジトー・スクリ。リジィ君と呼んでやってちょうだい。 更に私たちの向かいに座っている双子君たちも紹介するわね。 私たちから向かって左がウィリシム・ヤハ。ウィルって呼んでるわ。 右がアビウル・パウロ。こっちはアビーって呼んでる。 因みにこいつらのすぐ下の弟がアーヴィスっていうんだけど、そっちはアービィだから間違えないように。 あ、その代わりアビーとウィルは間違えてもオッケ。 私たちですらたまにどっちがどっちだかわからなくなるくらい見事な一卵性双生児なんだから。 ちなみに私とリジィも双子だけれど、性別の違いから分かるように二卵性。 だから私とリジィは余り似てないの。 お分かりいただけたかしら? 「…ねえ、シシィ姉上は誰に向かって説明してるの…?」 「放っておけ。シシィがおかしいのはいつものことだ」 おいこらチョイ待て。 「そんなことより、シシィ姉上、用件はなに?」 あーそうそう、忘れてた。 ついさっき、我らが愛すべき愚弟、ファニー君が我らが部屋にやって来たのだよ。 で、うだうだと下らない事で悩んでたから蹴飛ばしてやったんだけどね。 「…シシィ姉上の愛情表現はバイオレンスだよね…」 「言葉と一緒に足が出るからね…」 「最近は頭突きも出るぞ」 こらこら、人の話を聞きなさいな。 「あのね、あんたたちは将来誰かと結婚して家庭を持つ気はあるの?」 「「…これまた唐突だね」」 「だって私たちより上の双子どもは結婚する気さらさら無いって感じじゃない」 「だから血筋かと思ったわけか」 そう!グッジョブ、リジィ! ほら、私たちって色々特殊じゃない? お父様は皇帝だしお母様はプラントだし。 まあこの際お父様の事はどうでもいいとして。 お母様がプラントであることは事実で、私たちより年上の双子は二組居るわけなんだけど。 「リーア・ラーフ組はお互いとお母様しか見えてないし、チャル・フェイ組もお年頃のクセにまったく女の影が無いし」 ついでに言うならレティ姉さまは導師イオンとくっついちゃったし。 「だからプランツ同士惹かれあう性質が双子には強く作用するのでは、と思ったのだな」 「そういうコト」 「うーん…確かに僕らもあんまり…」 「そうだね、今のところお互いが一番だとかそういうの関係なく、ただどうでもいいよね」 「無理に相手を作る必要もないだろう」 「それはそうなんだけどねえ〜」 私自身も余り男に興味ないし。 だからといってリーア・ラーフ組のように「リジィさえ居てくれればいいの☆」ってわけでもないけど。 寧ろリジィはホントに私の片割れかと言いたくなるほど無口で存在感も薄い。というか気配が無い。 お前は隠密かってくらい。知らない内に背後に立たれた事数知れず。 まあそれはともかく。 「今の所、男女の双子って私とリジィだけじゃない。だから何か違うのかなーって」 「「別に違いなんて無いと思うけど」」 「思うぞ」 「何よ!人が無い知恵絞ってやってんのに!」 「無知だという自覚がある上であの勉強量か。凶悪だな」 「ウルサイ」 「まあ、双子だからどうこうっていうのは全く無いわけじゃないとは思うけど…」 「チャル兄上とフェイ兄上はただ研究バ…熱心なだけで」 「リーア姉上とラーフ姉上が特別なんだと思うぞ」 「うーん、そっかあ…そうね…あの二人は特別お母様の血を濃く受けてるものね…」 あの二人はお母様にとてもよく似ている。 それこそお母様と三つ子なんじゃないだろうかというほど似ている。 ラーフ姉さまが右利きで旋毛も逆ってコトくらいで。 「…だから心配なんじゃない」 あ、コラ、生温く笑うんじゃないよ男ども。 だってお父様は人間で、お母様のように生きようと思えば思うだけ生きれるわけじゃない。 いつかその日が来て、お父様もお母様も居なくなってしまったら。 あの二人はどうなってしまうのかしら。 「「「「…………」」」」 そんなのわかってるのよね。 こうしてあーだこーだ言って、「大丈夫だ」って誰かが言ってくれるのを待ってるの。 自分では言えないでいるから。 そんなの、わかってるのよ。 結局みんな同じなのよ。 だからこうして堂々巡りをしているの。 いつか誰かが「大丈夫」って言ってくれるのを待ちながら。 ああ、不毛だわ。 ***** プランツ子供ネタ。 第十、十一子シシィとリジィ&第十二、十三子アビーとウィル。 「ファニーの場合」のその後くらい。 |
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