プランツ
〜ファニーの場合〜







僕の名前はデファン・ドミネ。
みんなは僕のことを「ファニー」って呼ぶ。
女の子みたいだから止めて欲しいのに一向に聞いてくれない。
僕が本気で嫌がっているわけじゃないって知ってるからだ。
僕の事を「デファン」と呼んでくれるのは親友のアデミルだけだ。
アデンミリヤム・イル・キムラスカ・ランバルディア。
エル姉さまとアインス殿下の長男で、僕と同じ十歳。
アデミルは僕の父上の事を「おじいさま」と呼ぶ。
昔はそれが不思議で仕方なかった。
何故、同い年のアデミルが父上を「おじいさま」と、
母上の事を「おばあさま」と呼ぶのかが理解できなかったのだ。
今でこそ理屈は理解しているのだけれど、あの頃は本当に不思議だったんだ。
母上は未だ二十代半ばにしか見えないし、父上も十分若作りだった。
あの二人ほど「祖父」や「祖母」の名称が似合わない夫婦もいないだろう。
何度も言うようだけれど、理屈は理解しているんだ。
けれどこの複雑な胸の内、察して欲しい。
はあ。思わず溜息が漏れる。
この年から溜息を吐いていたら身が持たない。
しかし漏れてしまうものはどうしようもない。
ああ、そうだ、こんなときは彼らの部屋へ行こう。
シシィ姉上とリジィ兄上の元へ。
シシィ姉上にこのもやもやを笑い飛ばしてもらって、リジィ兄上に慰めてもらう。








*****
プランツ子供ネタ第四弾。気付けば苦労性配置のデファン。
アデミルの父親、アインスはガイナタの息子です。
ちなみにアインスのフルネームはアインダルバス・ラル・K・Lです。








拍手ありがとうございましたvv



戻る