いつわりの花園






俺たちは薄暗い廃工場の中を歩いていた。
勿論、好きでこんな所をうろうろしているわけじゃねえ。
暗いわ油臭いわ煤汚れてるわ。
俺たちはともかく、ルークまでこんな所を歩かせなくてはならないというのが何よりも気に入らない。
事の始まりは昨日にまで遡る。
無事バチカルに辿り着いた俺たちは、城を出た後は屋敷で寛いでいた。
他の面々はとっとと追い返し、数ヶ月ぶりの自室で俺はルークと過ごしていた。
明日からはまたこの箱庭で過ごすのだ、と思いながらもルークを抱いて眠りに着いたと言うのに。
朝も早くから登城しろと言われ、何となくいやな予感を感じながら登城すれば案の定。
アクゼリュスで瘴気が噴出し、街は壊滅の危機に陥っているという。
だからお前が親善大使としてアクゼリュスに赴け、と。
何だそれは。と言いたい。
ふざけるな。と言いたい。
ルークとまた離れろと言うのか。ヴァンが捕らえられていようが知ったことか。
暴れだしたい衝動を無理やり落ち着かせ、ここは耐えろ俺、と言い聞かせつつ快諾したのだ。

しかしその後、城の地下牢の前でヴァンがとんでもない事を語りだしたのだ。

「…ND2000、ローレライの力を継ぐ者、キムラスカに誕生す。
其は王族に連なる赤い髪の男児なり…この預言に詠まれているとおり、お前はローレライの力を継ぐ者。実際、お前の肉体は普通の人間と違い、殆どが第七音素で構成されている。…不思議に思ったことは無いか、何故自分が軟禁されなくてはならなかったのか。お前の超振動は常人のものと比べて桁違いに威力が強い。だからティアとの擬似超振動で飛ばされてしまったのだ。その力をマルクトに利用されないためにインゴベルト王はお前を外に出さぬよう公爵に命じた」

「しかし万が一、お前の力が暴走したら厄介だ。そこで、お前の力が暴走しないよう用意されたのが『ルーク』だ」

「アッシュよ、ルークはお前の音素情報を基に育てられた。だからあんなにもお前に似ているのだ」

「お前の音素情報を取り込んで育った『ルーク』というプランツは、お前専用の制御装置なのだよ」

「アクゼリュスにはルークも連れて行きなさい。ルークが傍にいる限り、お前の力がお前の意思に反することは無い。何より、置いていけばきっとあの子はお前を探して屋敷を飛び出してしまうだろう」


「ルークを愛しみ、守ってやりなさい。それがお前の身をも守るだろう…」


ぴたり、と足を止める。
「アッシュ?どうかしまして?」
途中参加(インゴベルト王が泣くぞ)のナタリアが首を傾げて見ているがそんなことはどうでもいい。
「……」
強く握った拳が震えている。
わなわなと唇の端が痙攣する。
ルークを愛しめ?当たり前だ。
ルークを守れ?当然だ。
何が、なにが、なにがっ!
『それがお前の身をも守るだろう…』だ!!
俺は一度も己のためにルークを守ろうなどと思ったことはないし、これからだって思うものか!!




「俺のルークへの愛を甘く見るんじゃねぇええぇ!!!」




思わず絶叫したら周りにドン引きされた。知るか。









***
廃工場の中心で愛を叫ぶ。
眠気と戦いながらだと何書いてるのか自分でもよく分かりません・・・。分かるのは何かが壊れたと言うことだけです・・・(爆)
それにしてもアッスがどんどんアホの子になっていく…。
ディストもこれくらいアホですよ、ええ。コーラル城ではデータに目が行ってただけで。普段はルークバカですよこの人も。
アッスもディストもルークすら絡まなければゲームどおりの性格なのですが、ルークが絡むともうダメ人間です。
ルークと世界天秤にかけたらスコーンとルークの皿が落ちます。最低だコイツら。






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