いつわりの花園





プランツは、否、「ルーク」はアッシュを離そうとしなかった。
にやにやしているガイに何とかしろと怒鳴り飛ばしながらふと気づいた。
「……おい、何でこいつはこんなに汚れているんだ」
純白のドレスは暴れたためかスカートの裾が破れていたり汚れたりと、綺麗好きと言われるプランツに相応しくない有様である。
しかもそのドレスは記憶が確かならアッシュがルークと引き合わされたその時着ていたドレスと同じものだ。
「その、ルーク様がわたくしどもに触れられることを酷く厭いまして…その…」
しどろもどろに答えるメイドの顔には化粧で隠そうとしてあるものの、うっすらと痣らしきものが見えている。恐らくその度にルークが暴れ、どうしようもなかったのだろう。
「…つまり、」
つまり、この十日間、風呂にも入っていなければ服も変えていない、と。
いくらプランツが人間のようにべたついたりしないとはいえ、いくらプランツが排泄すら月に一度程度あるかないか程度とはいえ。
「…風呂に入れる。湯を張れ」
「は、はい!」
メイドが慌てて部屋の奥の扉から出て行く。
どうやらあの扉の向こうに化粧室や風呂が設置されているようだ。
「ガイ、こいつは風呂に入れるのか?」
今まで楽しそうに事の成り行きを見守っていたガイが壁から身を起こす。
「プランツは出荷までに一通りのしつけはされているから風呂も抵抗無いだろうけど自分で洗えるかどうかはわかんないな。おっと、ルークがメイドに触られるのは大嫌いだって事、忘れんなよ?」
アッシュの表情で全てを読み取ったガイの言葉に彼はむっとした。
「…俺にコレを洗え、というのか」
コレ、と指差されたルークはきょとんとした表情でアッシュを見ている。ちなみにその手はアッシュの腕をしっかと掴んだままだ。
「手伝ってやるから」
「そういう問題じゃねえ!!」
なぜか顔を赤くして怒鳴るアッシュに、ガイはその理由を察して思わず声を上げて笑った。









(ここで区切るのかよということで続く)
***
植物とはいえ女の子の形をしたルークを裸に剥いた上、その体を洗ってやるなんてできるかー!ということですネ。
実際はルークができないのは髪を洗うことだけで、体は自分でさっさと洗っちゃうのでほっとするアッシュと実はそれをはじめから知っていたガイがまた大笑いしてアッシュに殴られる、と。
そしてアッシュは未だに自分がとうにルークを植物ではなく人として扱っていることに気づいないという。(爆)






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