24:な、な、何を・・・?!
(阿含、雲水/アイシールド21)





「以上、解散!」
声と共に部員たちは部室へと向かう。
その最後尾を歩いていた雲水はふと立ち止まって振り返った。
誰もいなくなったグラウンド。
夕闇に染まっていく空。
雲水はそれをただじっと見つめた。
振り返ることが、どれだけ虚しいことか、知っている。
立ち止まることが、どれだけ差を広げてしまうのか、知っている。
けれど、それでも雲水は時折、立ち止まる。…振り返る。
そこへ戻りたいと願うわけではない。
そこに懐かしさを求めるわけでもない。
それでも時折、足を止めて振り返ってしまう。
何のためなのか、それすらわからぬまま。

不意に、引き寄せられた。

「なっ、何…阿含!」
引き寄せたのは、部活には姿を現さなかったはずの阿含。いつからいたのか。
「なーにタソガレってんだよ」
雲水の肩を抱き寄せながら、阿含はその顔を覗き込む。
「ん?」
「…別に、片付け忘れているものが無いか、見ていただけだ」
「ふーん?」
そのまま阿含を引きずるようにして踵を返す。
「阿含、来るなら来るでもっと早く来い。部活が終わってから来ても意味が無いだろうが」
「バカ、部活なんて出るかっつーの。帰りついでに覗いたらお前が居たから来ただけだっつーの」
いつもと変わらぬ言い合いを交わしながら、ふと雲水はまた立ち止まった。
「……」
阿含が引っ付いているので肩越しにグラウンドを振り返る。
「雲水?」
大勢の足跡の上に、微かに刻み付けられている、二人分の足跡。
雲水は僅かに微笑み、そして今度こそ部室へと歩き出す。
「…何でもない」
そこへ戻りたいと願うわけではない。
そこに懐かしさを求めるわけでもない。
「意味フメイだっつのオニーチャンよー」
それでも時折、足を止めて振り返ってしまうのだ。










+−+◇+−+
アタイも意味不明だようんちゅい…(爆)
(2004/10/05/高槻桂)

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