27:じゃ、ココでする? (大石×乾/テニスの王子様) 例えば、「付き合ってください」「はい」の会話が為された二人がその瞬間から恋人同士となるのであれば。 俺と大石は紛う事無く恋人同士である。 が、正直な所、この現状はどうなのだろうと、仮にも大石の恋人である俺は思うわけですよ。 付き合い始めて二ヶ月と二十七日が過ぎた現在、何の変化もない。 キスどころか手を繋ぐことも無く、当然それ以上なんてあるはずも無く。 家の方角も門から出て真逆だから一緒に帰ることも無い。 そりゃあデータ整理とか言って大石が部誌を纏めるまで待って校門まで一緒に帰る事は恒例となっているけれど、それは付き合う前からのものだ。 休日は大抵部活だし、偶のオフは一緒に出かけることもあるが…まあ強いてあげるならその程度だ。 大石は俺に触れたいとか思っているのだろうか。 現状に対しての不満、というよりはこれは好奇心だと思う。 自分より背が高くて表情が読みにくい男をそういう対象として見れるのだろうか。 俺自身、こればかりはデータとイメージで捉えるしかないのだが、現時点では問題ない。まあ俺が上か下かは置いておいて。(これは大石の希望を尊重するつもりではいる) そもそも大石の性欲はどの程度のものなのだろうか。 イメージとしては純情路線一直線な気もするのだが、それはあくまでイメージであってデータではない。 告白したのは俺からだったけど、それは大石も俺の事を好きだと核心を持っての事だったし事実大石は即答で応えてくれた。 しかし大石は俺と付き合って、その先まで考えているのだろうか。 「どうしたんだい?乾」 あ、バレた。 まあ、あれだけガン見してれば当然か。 「うん、ねえ大石」 俺は広げただけで結局何も描いてないノートの上にペンを転がした。 「大石はさあ、俺にキスしたいとか思うわけ?」 パキ、とシャー芯が折れる音が微かに聞こえた。あ、大石固まってる。 「な、な、なん、な」 うん、思ったとおりの反応をありがとう。 「いやほら、一応俺ら付き合ってもうすぐ三ヶ月じゃない。さすがに手を繋いで外を歩くとかは無理かもしれないけど、キスくらいだったら場所考えれば出来ると思うんだけどそもそも大石は俺にそういうことしたいとか思うのかな、って思って」 そこまで言ってから大石が落ち着くのを待つ。 そのまま見ていると、暫くして大石はごほんと咳払いを一つした。 「あーその、まあ、思わないわけじゃないが、その、タイミングというか、その」 「タイミング、ねえ…」 なら、そんな話題も出たことだし。 部室に二人っきりという状況なわけだし。 「じゃ、今ココでしてみる?」 さて、どうする? *** 久しぶりに明るいテンポの話し書いたかもしれない。(爆) ということで消化。 |