37:俺のことを信じられないってのか?
(宮田×一歩/はじめの一歩)




この部屋で二人きりになるのは、あの冬の日以来だった。
向かい合って座り、しかし二人の視線は全く逆の方向へ向けられていて交わることはない。
「…本当に、オレの子なのかよ」
「…うん…その…ボク、宮田くん以外に心当たりがなくて…」
無くていい無くていいそんな心当たり無くていい。
「……」
「……」
言いたいことや、聞きたいことが沢山あったような気がするのだけれど。
もう、何が何だか分からなかった。
ただ、問わなくてはならないことは、分かっていた。

「…籍、入れるか?」

「……え?」
「……」
「……」
「…二度も言わせんじゃねえよ」
「はっ、あっ、ご、ごめんっ…」
「……」
「……」
「…で、どうしたいんだよ、お前は」
「ど、どうって……」
「……」
「……その…えと……」
ぷちっ。
「だからっ!オレと結婚したいのかしたくないのかどっちだっつってんだよ!!」
「はい!したいです!!あっ」
反射的に口元を手で覆う一歩に、宮田は「最初からそう言えば良いんだよ」とぶっきらぼうに呟いた。
「…で、でも…」
そろそろと口元の手を外した一歩が言う。
「何だよ」
「…ボクなんかで、いいの…?」
「……なんか、とか言ってんじゃねえよ」
そう呟いて不意に口付ける。
随分と久しぶりのそれに宮田は気付かされる。
ああ、やはり、
「…お前が、良いんだよ」
「み、みやたく…」
見下ろした瞳が揺れる。
あ、コイツ泣く、と思った次の瞬間にはその黒目がちの瞳から一歩はぽろぽろと涙をこぼして宮田を見上げていた。
「あ…ご、ごめ…嬉しくて…」
慌てて目元を拭う手を取り、その眦に口付けた。
その雫は、海の味がした。





***
その頃歩夢はじーじとゴムボール(一歩持参)で遊んでますよ。
じーじの相好は崩れきってますよ。ジムの人には見せられませんよ。(爆)

 

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