カーシュの自室に招き入れられたイシトは勧められた椅子に腰を下ろします。
一日中立ちっぱなしで皿洗いをしているせいか、その座り方はどことなくぎこちないです。
黒き風の隊長、敵を倒す事は出来ても皿洗いには向いていないようです。
「それで、何の用だ?」
イシトがそう聞くと、カーシュは「は?」と声を上げます。
「何って・・・・別に。ただ話し相手が欲しかっただけだ」
「はあ?」
イシトにとっては奇怪としか言い様の無い返答に少々上ずった声を上げてしまう。
「いや、だから暇潰し」
「そんな事に人を巻き込まないでくれ」
「だってよ、お前一日中ああやってじゃばじゃばやってんだろ?偶には息抜きしねえと」
反論しようとしたイシトだったが、実際あの業務に疲れているのは確かで。
「・・・・・・すまない」
礼を言わざるを得なかったりするんです。
「いいって事よ。所で・・・」

「カーシュ君!」

「ハハハ、ハイィ?!」
何を言おうとしたんでしょうね。必要以上にびびったカーシュが扉をみると、そこには一人の男が立っていました。ノックぐらいしたらどうですか。
「オ、オーチャ?」
それは先程まで中華鍋を華麗に操っていたオーチャでした。
「すまんが食堂が込んで来てな」
言うが早いかオーチャはイシトの腕を掴むと半ば引き摺るように連れていってしまいます。
「す、すまないがまた後で・・・」
バタンと大き目な音を立てて扉は閉じられました。

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