「なあ、それよりその辺の店で食わねえ?」
セルジュ宅へ行けるのは嬉しいが当然彼の家に親御さんはいます。
運が悪いとレナに見つかってしまうでしょう。彼女に見つかったら最後。セルジュとらぶらぶな事をしようなど言語道断。完全に阻止されるでしょう。
それを恐れて、セルジュの誘いを敢えて断り、尚且つ邪魔の入らない外食に誘います。
これは一種の賭けでした。
「う〜ん・・・・」
セルジュは暫し悩んだ末、にっこりと笑いました。
「うん、いいよ」
どうやら勝利の女神はこちらの味方だった様です。カーシュは「よしっ!」と気合いを入れ、セルジュと共に近くの軽食店へと向かいました。
「はあ〜、おいしかったね、カーシュ」
食事も終り、テルミナの出口へと二人並んで向かいながら他愛の無い会話を楽しみます。
「ああ・・・なあ、セルジュ」
「え?なあに?」
「これから俺の部屋、来いよ」
そっと耳元に唇を寄せ、低く囁きます。これは当然、効果を狙っての事です。
「え・・・」
予想通りセルジュは頬を朱に染めながらカーシュを見上げてきます。
「・・・・嫌か?」
返事がわかっていて敢えて聞くのも演出の一つ。セルジュはそんな事にも全く気付かずに俯きます。
「・・・嫌じゃない、よ・・・」
こうなってしまえばもうこっちのモンです。あとは押せ押せGOGO!状態です。
「なら、行くか」
気分はラブホに入ろうとするカップルそのものでした。
蛇骨館へ足早に戻ると、カーシュはセルジュを自室へ迎え入れ、しっかりと鍵をかけました。
食欲だけではなく、性欲まで満たされたようです。
それとなく充実した一日でした。