「てめえヤマネコ!驚かせんじゃねえよ!!」
仮にも目上の人物に対して思ったままの事を口に出してしまったカーシュ。「あ」と思っても時既に遅し。
「・・・・・・・」
冷ややかな視線でヤマネコ様が見詰めてきます。カーシュ、ピンチです。
「驚かせてすまなかったな。あれしきで驚くとは思いもせんかったのでな」
欠片もすまないと思っていないだろう声で淡々と告げられ、カーシュは「いえいえいえいえ」と最早ステータス異常(混乱)を起こしているのではないかというくらい慌てています。情け無いですねえ。
「滅相もありません!ええもう全く持ってとんでもない!!」
カーシュ、自分が何を言っているのか分かっているのでしょうか?
(ヤバイって!ぜってえヤバイ!!どうする、どうする?!)
どうやら分かっていないようです。今、カーシュはヤマネコ様からどう逃れるかで頭が一杯です。
何故なら以前、セルジュを捉えてこいと言われたにも関わらず取り逃がしてしまったカーシュはヤマネコ様にそれはもう恐ろしい仕置きを受け、「もう二度とご免です★」と思っていたのでそれ以来ヤマネコ様の機嫌を損ねたくはなかったのです。
なのにぽろっと口を滑らせるもんだから・・・普段の言いたい事はずけずけ言う性格が仇となりましたね。
「そ、それじゃあワタクシめはこれにて・・・」
こういう時はとっととトンズラこくのが一番だとカーシュが回れ右をすると、むんずと首根っこを掴まれてしまいました。
「待て。今暇だろう?奇遇な事に私も手持ちぶさたなのでな。私に付合え」
カーシュ以上に唯我独尊的な口調で言い放つとヤマネコ様はさっさとカーシュを引き摺ってテルミナを出て行きます。
「ちょっ、そんっ・・・!!」
もはや恐慌状態を起こしていると言っても過言ではないでしょう。カーシュは陸に打ち上げられた魚宜しく口をぱくぱくさせて来る筈の無い助けを求めながらずるずるとヤマネコ様に連行されていきます。
カーシュが解放されたのは次の日だったそうです。
とりあえずは自業自得とでも言っておきましょうか。
TOPに戻る