4月18日の花:キキョウ=やさしい愛情
一休、雲水/アイシールド21




あれ、雲水さんだ。
何処行くんだろ、こんな時間に。
あ、俺ちょっと出かけるわ。点呼までには戻るって。
何だろ、阿含さんならともかく、雲水さんがこんな時間に寮を抜け出すなんて。
部室に忘れ物とか?
でも方向違うし…あ、雲水さん発見。
雲水さーん!
「うん?一休か。どうした、こんな時間に」
あ、いや、その、窓から雲水さんの姿が見えて、その、探し物かと思って…すんません。
「謝る必要は無い。心配してくれたんだろう?」
は、はい…
「ありがとう」
うわ、雲水さんが笑ってるっ…鬼ラッキー!
「だが、阿含を迎えに来ただけだから大丈夫だ」
阿含さんを?
「そろそろ帰ってくるような気がしたんだ」
気がしたって…
雲水さんは仕方ない、って感じに苦笑してる。
双子ならではの勘というヤツだろうか?
「さあ、一休は帰りなさい。一年はそろそろ点呼が始まるだろう?」
でも、雲水さんだって…
「大丈夫。二年の点呼が始まるまでには寮に戻るから」
はい、じゃあ失礼します。
「おやすみ、一休」
はいっ、おやすみなさい!
俺は一礼してから雲水さんに背を向けて駆け出した。
「げ、雲水」
それからすぐに聞こえた、雲水さんとよく似た声。
「ギリギリだな、阿含」
振り向くと、阿含さんが壁を乗り越えて雲水さんの前に着地した所だった。
「イチイチ迎えに来てんじゃねえよ」
「そうだな」
遠目からでもよく見える。
雲水さんが、穏やかに笑ってる。
俺はまた寮に向かって駆け出した。
雲水さんが迎えに来なかったら、きっと阿含さんは不機嫌になるんだと思う。
今みたいな、口だけの不機嫌さじゃなくて。
雲水さんもそれを分かってるから反論したりしないんだ、きっと。
いいなあ、阿含さん。

 

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