6月6日の花:タチアオイ=熱烈な恋
上条、薫/CASSHERN、観用少女ダブルパロ




いつから、と問われたのなら、恐らく始めから、と答えただろう。
初めて見たあの瞬間から、私はあの子を自分のものにしたかった。
だからあの子に惹かれていると自覚してすぐに家を出た。
近くにいれば、無理にでも奪ってしまいそうだった。
それ以来、父とは年始めくらいにしか顔を合わせた事が無い。
あの子とも、同じだけ会っていない。
いつも、何か言いたげな眼差しで私を見ている。
眼を合わす事もしない私の姿はあの子にどう映っているのだろう。


父が倒れた。
あの子が父の元へやってきて十年が経った頃の事だった。
元々肺に病を患っていたのが、ここ数日の忙しさの疲労が重なったのだろうと医者は告げた。
数日の検査入院の後、退院する頃には父は車椅子の住人と化し、酸素吸入器を手放せない身となっていた。
今までの小型の吸入器とは違い、車椅子に取り付けられた大仰な機器が父の病状の悪化を白地に知らせていた。
その父の姿を見た瞬間、私の中に沸き上がったのは、父への心配では無かった。
あの子を、この手に出来るかもしれない。
それだけが私の心を占めていた。

 

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