6月9日の花:チューベローズ=危険な関係
L、月/デス・ノート




彼は月を好きだという。
それが月に襤褸を出させるためのものなのか、本気のものなのかは月にはわからない。
恐らく前者であるのだろうけれど、顔色一つ変えずにそう告げる彼に月は少なからず苛立ちを覚えた。
それが余計な事を月に言わせてしまったのかもしれない。

「もし僕が本当にキラだったら?」

微かに苦笑を浮かべてそう問い掛けてみる。
「やっぱり捕まえますね。公私混同はしません」
予想した通りの応えに「だろうね」とつまらなさそうに相槌を打ち、月は肩を竦めて見せた。
「ですが、そうですね…」
だが、不意に彼はつい、と視線を傍にずらし、そしてすぐにまた月を見た。

「――――」

すぐ傍にいる月にしか聞こえないくらいの小さな呟き。
月の目が微かに見開かれる。
「これが私の本名です」
そして月が何か言う前に彼は「黙って」と人差し指を月の口元に当てた。
「好きなように解釈して下さい」
宛がわれた指がそろりと月の唇をなぞる。
「あなたがすきです」
月は無性に舌打ちしたい衝動に駆られた。

 

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