6月10日の花:チューベローズ=危険な楽しみ
リューク、月/デス・ノート




暇だ、と連呼する死神を無視して参考書と向き合っていると、背後から長く歪な腕が月の顎を捕らえた。
「リューク、邪魔を…」
ひゅっと月の喉が鳴った。喉に当てられた体温の無い指がシャツの中へと滑り込んだのだ。
「リューク」
諌めるように名を呼んでも死神の掌は当たり前の様に月の胸元をまさぐる。それどころかもう片方の腕がライトの下肢へと伸びてゆく始末だ。
「暇だ、ライト」
「僕は忙しい」
「俺は退屈だ」
「あのなリュー…っ…」
明確な意図を持つその掌の動きにライトは言葉を詰まらせる。
「退屈だ。構え、ライト」
ズボンの上から持ち上げるように揉みしだかれ、月は眉根を寄せて視線を伏せた。理性では拒まなければならないと分かっていても、徐々に沸き上がる快楽をこの体は浅ましく貪ろうとする。
耳朶を生温く湿ったものが這う感触に月の体が震えた。
「リュー、ク…!」
ぺちゃりと水音を立てながらそれは月の耳を舐る。
「ぁ、っ…」
舐られている耳から全身へ僅かな、けれど確かな快感が存在を主張するように駆け抜けていく。
「ライトだってその気だ」
存在を主張し始めた下肢の熱に月は舌打ちする。
「お、まえが強引にその気にさせたんだろ…!」
リュークはくつくつと笑いながらズボンのファスナーを下げ、その中へと指を滑り込ませた。
「あっ、っ、ん…」
勃ちあがりかけているそれを取り出して扱くリュークの指を見下ろし、月は鈍くなってきた思考で考える。
「リューク、おまえ、精気より、林檎の、方が、好きなんじゃ、なかったのか?」
「ライトの蜜は美味い」
「んっ、っ…」
耳元で響く低い声が下肢へと響き、月はその度にびくりと体を震わせ、脚を突っ張らせた。
「林檎も美味いがライトのコレの方がもっと美味い」
「あッ」
先端を指の腹で擦られ震えると、椅子が軋んだ音を立てる。
月は唇に微かな笑みを刷き、椅子ごと体をリュークの方へと向けた。
「舐めさせてやるよ」
死神はちろりと舌舐めずり、喉を鳴らして月の前に膝をつく。月が軽く脚を広げると、それを待ちかねた様に形を成している月自身をリュークは躊躇いも無く舐め上げた。
「っ…んっ…」
その端正な顔を快感に顰めながら、それこそ飴を舐るようにしゃぶりつく異形の姿に月は耐え難い昂揚感に襲われる。
「んっ…、…っ…」
危うく達してしまいそうになるのを堪える月の口元にはそれでも三日月のような笑みが浮かんでいた。
仮にも神を冠する存在が自分の足元に跪き、性器にしゃぶりついているのだ。
快感と混じり、増していく征服欲と独占欲。
ノートだけではなく、この死神もまた、自分のものだ。
誰にも渡さない。
デスノートも、新しい世界の神の座も。そして、
「リュークッ…」
僕だけの、死神だ。

 

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