7月8日の花:アガパンサス=恋の訪れ
チャド、一護/BLEACH




チャドはよく俺に触わる。
髪だったり、腕だったり、とにかく不意に触わってくる。
で、俺が何か言う前に離れる。
始めの頃はその度に何だとかどうしたとか聞いていたけれど、返ってくる応えはいつも「何となく」。
他のヤツラにもそうしてるのかと思えば、どうやら俺に対してだけらしい。
今ではもう慣れてしまって、好きにさせていた。…のだが。
最近少し困った事態になっている。
いや、チャドがどうとかではなく、俺の方だ。
どうも、俺はチャドに触わられるのが…あー、嫌ではないらしい。
いや、それは始めからなんだが…その、何だ。
寧ろ…チャドに触わられるのが…好き、らしい。ギャー!!
お、思わず叫んでしまった。誰も見てないな?…よし。
「一護」
「うぎゃあっ!」
思わず飛び上がると、驚いたツラしたチャドが俺を見下ろしていた。
「スマン、叫び声が聞こえたから…」
「いいいいやいやいや、気にするな」
因みにここは視聴覚室。屋上の次に使わせてもらっている。(当然無許可)
一人になって考えたかったっつーの寄りによってお前が来てどうする。
「…何か、悩みでも、あるのか」
チャドの心配そうな声に俺は肩を竦めて苦笑する。
「大した事じゃねえよ。さんきゅ、チャド」
「そうか」
チャドは微かに笑い、そのデケェ手が俺の髪を一度だけ梳いて離れた。
あ、
「チャドの手って、気持ち良いよな」
「……」
「……」
……あ?
ちょちょちょちょっと待て、今、俺、口に出した、か?
「…えーと…」
恐る恐る見上げると、固まっているチャド。
ヤバイ、マジで言っちまった!?
「イッ」
俺の引っくり返った声にチャドがびくっと震えた。
「イイイ今のナシ!!」
妙に甲高い引っくり返った声で叫び、俺は駆け出した。
ギャー!!どうするよオレ!!

 

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