7月10日の花:スイカズラ=愛の絆、献身的な愛
斬月、一護/BLEACH




夢を見た。
俺と斬月のオッサンが向き合って立っていた。
俺と斬月の間には、十歩ほどの間がある。
そこは俺の心の中じゃなく、どこか広い草原だった。
何処までも何処までもひたすら青い空と緑の草原。
青い空を流れるように無数の雲が物凄いスピードで過ぎてゆく。
青々と茂る草を風がさらさらさらさらと凪いでゆく。
俺の遥か後ろから、斬月の遥か後ろへ。
そこで気付いた。
これだけ風が吹いているのに斬月は髪の一筋すら揺れていない。
そういえば俺自身も全く風を感じていない。
声を掛けようと口を開いてみても声は出ない。
「一護」
斬月の声がすぐ傍で聞こえた。
だけど斬月自身は変わらず俺の前に立っている。
「忘れるな、一護」
不意に斬月の姿が消えた。
「お前が存在する限り私も存在する」
そして真後ろから何かが覆い被さってくる感触。
「お前が私に心許してくれたなら」
何か、は斬月だった。
「私は何処までも強くなろう」
背後から俺を包み込むように斬月が立っている。
「何よりもお前のために強くなろう」
斬月の腕が俺の胸の前で交差される。引き寄せられる。
「忘れるな、一護」
それは温もりではなく、けれど心地の良い何かが全身を支配する。
「私はお前の傍に居る」
俺は小さく笑って目を閉じた。
「信じてるぜ、オッサン」
そんな、夢を見た。

 

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