7月11日の花:4日 ウツギ=秘密
ウォルター/ウォルター少年と、夏の思い出




そんなつもりじゃ、なかったんだ。


老ライオンの名前は何にしよう。
そう思った時、ひょいと、そう、ひょいと思い付いたんだ。(ピンと、じゃなくてさ)
そうだ、ジャスミンはどうだろうって。
女の子だし、何よりジャスミンって名前が付いてればおじさんたちも撃ち殺したりしないだろう。
ただそれだけの、重さの無い気持ちだったんだ。
…あんな顔されるなんて、思わなかった。
あんな顔させたいわけじゃなかった。
なんだ、ガースめ喋りやがったのか。とか。
そんな風に笑い飛ばしてくれると思ってたんだ。
僕は何も分かってなかったんだ。
ハブおじさんにとって、ガースおじさんにとってもジャスミンの事はただの昔話はできない事だって。
おじさんの心の傷は、ずっと塞がらないままだって。
僕はおじさんのあの表情を見るまで気付かなかったんだ。
ジャスミン。
きれいなお姫様。
どんな人だったんだろう。
僕は知りたい。
ジャスミンの事、おじさんたちのこと。
もっと知りたいよ。

 

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