7月24日の花:ナデシコ=思慕
恋次の付き人/BLEACH




どうして。
何故なんですか、恋次さん。


旅禍が来てから恋次さんの様子がおかしい。
朽木ルキアさんの処刑が決まってから何処か思いつめているようだったけれど、旅禍が来てからはそれが更に顕著に表れていた。
いつも何かを考えているようで、上の空だ。
そんな時、三番隊の吉良副隊長が恋次さんが行方を暗ましたと教えてくれた。
僕なら知っているかもしれないと踏んだらしい。
だけど僕は何も知らなかった。
あの人は何も僕に話してはくれなかったんだ。
だけど、僕も恋次さんを探した。
僕はまだ未熟だから、恋次さんの強い霊圧を感じる事は出来てもそれが何処なのかまでは特定できない。
それでもよく行く所、道順、全てを辿って恋次さんを探した。
でも結局見つけたのは吉良副隊長たちだった。
恋次さんの霊圧が突然小さくなって、慌てて本部に戻った僕を待っていたのは、担架に乗せられて牢に運ばれていく恋次さんの姿だった。
「恋次さん!!」
どうしてどうしてどうして!!
「恋次さん!しっかりしてください、恋次さん!!」
四番隊の人たちが僕を羽交い締めにする。
遠ざかっていく担架。
「恋次さん!!」
大丈夫だから、我々が必ず助けてみせるから。
四番隊の人たちの言葉に僕は体の力が抜けてその場にへたり込んでしまった。
恋次さんを助けて下さい。
恋次さんが助かるなら僕はどうなっても構わないから、だから、だから…!
恋次さん、恋次さん…!


恋次さんが無事回復する事だけを願っていた。
そうすれば、全てまた元通りになるんだと。
また、「全くてめえは」って呆れて、でも結局笑ってくれる。
そんな時が戻って来るんだと。


「お、お止め…お止め下さい、副隊長殿…!!」


そう信じてたのに。


「剣をお退きくださ…がっ!!」


全てを決意した眼。
立ち塞がるもの全てを切り伏せると。
どうして。


「れ、恋次さん…どうして、こんな…」


どうして、何も言ってくれなかったんですか。
一言、たった一言を言ってくれれば、僕は。
お前も来いって、そうすれば僕は貴方に付いていったのに。
恋次さん、僕はそんな言葉を掛けるに足らなかったですか。
それともやっぱり、僕なんかじゃ足手纏い、ですか。
それでも恋次さん、僕は、


「恋次さんッ!!」


去ってゆく背中は振り向かない。
駆けてゆく足は止まらない。
遠く、遠くなっていく。


「恋次さん……」


あなたが、遠くなっていく。

 

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