7月28日の花:グラジオラス=密会
喜助、ルキア、一護/BLEACH




妙な事態になった。
朝起きたら虚も整も関係なくとにかく霊がぼろぼろ寄ってくるようになっていた。
加えて、周りの奴等もおかしくなっていた。
コンは慌てて押し入れに篭っちまうしルキアは姿暗ますし、チャドは引っ付いたまま離れねえし、井上は軟体動物みたいな動きするし、たつきは真っ赤になって怒り狂うし、石田はわけわかんねえ事口走って逃げるし…何なんだ一体。
「なんかね、今日の一護ってフェロモンむんむんって感じ?」
あはは、と笑いながら言うのは水色。あははじゃねえ。
「何だそりゃ」
昼休み、いつものように屋上で飯を食いつつ(ただしチャドは俺にべったり張り付いていたが)水色を問い詰めた。
「何かこう、ふらふらーっと引き寄せられるっていうか」
「そうそう、さあこっちにおいで!みたいな」
「わけわかんねえよ」
比較的何とも無い水色と啓吾が一護を抱え込んで放さないチャドを見ながらカラカラと笑う。
「すっげー強い磁石みたいな?」
「花に集る蜜蜂?」
所詮他人事の二人は笑うばかりでちっとも一護の助けにはならなかった。


で、ルキアがいないと死神化出来ないというのに霊は寄ってくる。
今の所、何とか整ばかりだがいつ虚が現れるか分からない。
という事で一護は学校が終わるなり浦原商店に駆け込んだ。
「こんにちは、黒崎さん」
「遅いぞ一護」
そこにはちゃっかりルキアが居座っていた。
「てーめーえーはーァ!!」
「まァまァ黒崎さん、朽木さんはアナタの為に一日頑張ってくれたんですから」
「はあ?」
喜助の言葉に一護は首を傾げた。
「それにしてもスゴイですねえ…ここまでとは」
可笑しそうに広げた扇子で口元を隠す喜助に、一護は自分のこの変調の事だと察した。
「これ、あんた何か知ってんのか?」
「いやあ、話に聞いた事はあったんですけどねェ」
勿体ぶる喜助に一護の苛々感が募る。
「だから、なんだっつーの」
「黒崎さん、ご自分の斬魄刀と交わいましたね?」
「…は?」
意味が分からない、という目で喜助を、そしてルキアを見るが喜助はにやにやと笑うばかりだしルキアに至っては一気に赤面して顔を逸らす始末だ。
「どういう意味だ?」
「簡単に言うとですね、斬魄刀の本体とエッチしちゃったでしょ?って事です」
沈黙。
「……ハァ?!」
「あら、自覚無し?」
「自覚も何もっ…斬月、オッサンだぜ?!そんっ、なんっ…!」
「まあまあまあ、落ち着いて。とにかくですね、自分の斬魄刀と交わるという行為は閉じ込められた霊力の開放を促すわけです。加えて斬魄刀との結びつきも深くなるからより強くなる。一石二鳥というわけです。まあ誰しもが出来る事ではないですけどね。少なくともアタシは初めて見ましたが」
「っ…!」
一護は顔をルキアに負けず劣らず紅くして口をぱくぱくさせていた。
「交わった後は霊圧が極めて濃厚になる。しかも黒崎さんの場合は霊力が強い分垂れ流し状態。つまり虚には垂涎モノだし、霊力の強い人はそれに当てられてしまう。今の黒崎さんは極上の香り玉状態なんですよ」
「ひっ人を芳香剤みたいに言うなっ…!」
「似たようなモンでしょ。ということで、そんな黒崎さんにお勧めの商品がコチラ」
差し出された薬包を開くと、中には数粒の黒くて小さな丸薬が収まっていた。
「…百草丸?」
「その霊圧を抑えるお薬ですよ。それで一回分ですから全部飲んで下さいね」
とりあえず五回分ありますから、と残り四つの薬包を渡された。
「大切に飲んで下さいね。朽木さんが頑張って調合したんですから」
「バッ、浦原、あれほど言うなと…!」
わたわたと慌てるルキアを一護は目を丸くして見下ろす。
「もしかして、今日一日居なかったのはこれ作ってた所為か?」
すると観念したのか、ルキアはそっぽを向いて小さく「そうだ」と呟いた。
「…サンキュ」
と、何だかいい感じで終わりそうだったのに浦原が余計な一言を言った。
「いやーそれにしても本体が人型で良かったですね〜。獣型だったら獣姦ですよ」
あっはっは、と笑う浦原に、一護は再び耳まで真っ赤になった。
「だからっ!記憶にねえっつってんだろー!!!」

 

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