7月29日の花:ハマヒルガオ=絆
斬月、零番隊/BLEACHパラレル




観音寺美幸雄が入隊してくる少し前の話しだ。
その日の昼過ぎ、零番隊隊員は自詰所の副官控え室とは名ばかりの溜まり場でのんびりとお茶を啜っていた。(コンは飲めないが織姫に付き合って一緒に居る)
ただし、そこに隊長の姿はない。
「ねえねえ、チャドくん、コンちゃん」
お茶請けの菓子豆腐を黒文字で突ついていた織姫がふと思い出したように顔を上げた。
「黒崎くんの斬魄刀の本体って見たことある?」
「あー…」
「…ある」
「どんなの?!カワイイ?カッコイイ?」
ワクワクと問い掛ける織姫にチャドは考え込む。
「…いや…」
どちらにも当てはまらない気がする。
「アイツの斬魄刀はむさっ苦しいオッサンだぜー?」
ぶんぶんと布製の腕を振り回しながらのコンの言葉に織姫はチャドを見る。
「そうなの?」
「ム…」
チャドが否定しないのを(肯定もしていないが)良く思ったのか、コンは調子に乗り始めた。
「斬月っつーそりゃもう黒尽くめの陰気なオッサンでさぁ〜」
と、丁度その時、扉が開き、一人の男が入ってきた。
「そうそう、ちょうどあんな感じの…ってホンモノだよオイ!!」
「えー!あの人が斬月さん?!あれ、黒崎くんどうしたの?!」
織姫の言葉通り、男は意識の無い一護を抱えている。
だが男は織姫の言葉に反応すること無く、ちらりと室内を見渡した。
「ギャーさっきの全部嘘ですスンマセンー!!」
脅え一杯で織姫の背に隠れるコンを無視して斬月はチャドへと視線を移した。
「……」
一護を寝たいだけ寝させておけ、という斬月の視線。
チャドがこくりと肯くと、斬月は音も無く部屋を横切って部屋の奥の扉、つまりは隊長室への扉の向こうへと消えていった。
「ふへえ〜ビビらせやがって…」
「黒崎くん、どうしたんだろうね〜」
閉ざされた扉を見つめながら呟く織姫に、多分、とチャドが口を開いた。
「疲れが、出たんだと思う…昨日の…」
「あ、そっかぁ〜、昨日一日中更木さんと戦ってたもんね〜」
「で、その辺でぶっ倒れて保護者に送ってもらったってトコかよ。コドモかっつーの」
コンの言葉に織姫はくすくすと笑い、それにしても、と立てた人差し指を頬に当てた。
「斬月さんって渋くて寡黙な人なんだね」
「あーゆーのを陰気臭いっつーんだって井上さ〜ん。そもそもアイツらは自分の主人以外はまーったく興味ナシ!な連中だからな〜。こっちから話し掛けたってまず無視されるぜ」
俺たちの前に姿を現すこと自体がもう滅多に無いんだから、と続けるコンに織姫はそうなんだ〜と感心の声を上げた。
「あたしの盾舜六花は結構みんなとも話すのになあ(用も無いのに呼び出すと椿鬼くんが怒るけど)」
だから自分たちは別名イロモノ部隊の零番隊なんだってば、とコンに言われ、織姫は「あ、そっか!」と照れくさそうに笑った。

 

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