8月9日の花:ジニア=別れた友への想い
前零番隊/BLEACH




「聞きたいことがあるんだけど」
一護の問いに零番隊隊員全員が一護を見た。
「なに?」
三人を代表して乎烏が応じる。
「六番隊の隊長って、何か俺に恨みでもあんのかな」
六番隊隊長、それに一番早く反応したのは甲斐川だった。
「何、あいつ、お前になんかしたのか?」
微かな怒りを滲ませる甲斐川の声に、一護は慌てて首を振った。
「や、そうじゃなくて。さっきすれ違った時にすっげ睨まれたから…」
すると甲斐川は表情を和らげ、気にするな、と苦笑した。
「あいつはそういう奴だから。無視するか睨むか以外の表情作れねえんだぜ、きっと」
「確かに朽木隊長って無表情通り越して鉄面皮だもんね」
「だから気にするなって。あいつに逐一気ぃ使ってたらハゲるぞ」
「はあ」
「第一あの野郎は昔っからそうだ。最低限しか言わねえしちょっとミスしただけで処罰だ降格だ除隊だ。ざけんなっつーの」
甲斐川の愚痴に乎烏があれ?と見る。
「甲斐川副隊長って朽木隊長の親友じゃないんですか?」
「はあ?!」
「え、そうなのか?」
乎烏と一護の問いかけに甲斐川はこれ以上になく芸術的に顔を歪めて反論した。
「フ、ザ、ケ、ル、ナ!俺とあいつのどこが親友だっつの!オトモダチですら無かったっつーの!!」
「でもよく一緒にいたじゃないですか」
「俺以外誰もあいつに進言する奴がいなかったんだよ。だから別にチャラチャラお友達ごっこしてたんじゃなくてむしろ冷戦勃発だったっつーの!」
「へえ…」
そこで初めて浦原が口を開いた。
「でも甲斐川サン、キミ以外の全員が白哉と一番親しいのはキミだと認識してるみたいですヨ?」
「あたしもそう思ってたー」
その言葉に甲斐川はぎゃー!と絶叫して机に突っ伏す。
「マジか!冗談じゃねえ!!」
喚く甲斐川を眺めながら浦原は口の中で小さく呟いた。
「そう…違うと思っているのは、アナタ一人なんですよ、甲斐川サン」

 

戻る