8月11日の花:ボダイジュ=夫婦愛
阿含、雲水/アイシールド21




休憩中も老人とあれこれ話し合っている雲水の姿を眺めながら、部員の一人がふと呟いた。
「雲水先輩がキレたトコって、誰か見たことあります?」
「そういやあの人って怒鳴ったり説教することはあるけど、キレた所は見たこと無いなあ」
「阿含ならキレまくってるけどなー」
「そういやこの前も三年半殺しにしたって」
「あ、知ってる、それ雲水が原因だろ?」
「え?!そうなのか?」
「あ、俺も知ってます〜。元々三年に絡まれたのって雲水先輩らしいっすね」
「そうそう、いちゃもんつけられたっつーかからかわれたっつーか」
「雲水はああいうヤツだから何も言わず受け流してやり過ごしたんだけど、阿含がそれ見てたのか誰かに聞いたのか、嗅ぎ付けちゃったんだよ」
「あー、だから」
「そう。ボッコボコ。まだ一人退院してないんだって?」
「まあ雲水先輩に絡んだのが運の尽きっつーか」
「だよな。阿含に直接絡めば気絶するまで殴られる程度で済むのに」
「雲水先輩の事となると阿含先輩ブチ切れ度MAX超えますもんね」
「死人が出ないのが不思議なくらいだぜ」
「雲水が怒るからじゃねえの?」
「アッハハ、絶対そうだ!」
「あの二人って揃ってると喧嘩してばっかだけど、単品だと仲良いよな」
「単品で仲良いも何も無いだろ」
「えー、だってそうだろ。雲水の方は本人の居ない所では阿含のこと庇うし、阿含も二人揃ってるときに雲水のこと悪く言われても無視するかげらげら笑ってるだけなのに後でお礼参りだろ」
「阿含!!」
グラウンド全体に響いた雲水の声に一同はびくっと飛び上がった。雲水が携帯電話に向かって怒鳴っている。
「このバカ!今日は何が何でも来いと言っておいただろう!!…問答無用ださっさと来い!!!」
そしてため息とともに閉じられる携帯電話。
「阿含先輩、今日来るんですかね」
「来るんじゃねえ?雲水がああやって怒鳴った時は大抵来るだろ」
「終わる十分くらい前にな」
「あー、そんな感じっすね」
「全員集合!!」
雲水の掛け声に一同は立ち上がる。
「三十分前にメロンパン」
「五分前に焼きそばパン」
「十五分前にカツサンド」
「えー、じゃあ俺は…」
口々にそう言いあいながら雲水の元へと駆けていった。

 

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