1月2日の花:プミラ=あなたは私を元気づける
京/97




あれ?居ないのか?
部屋に直行してるんだとばかり思ってたんだけどな。
どこ行ったんだろ。
煙草でも買い…や、夕飯前の時点でまだ結構残ってたな。
酒?いやでもハイネケンがあった筈。
仕方ねえなあ。
このまま部屋に戻ってもする事ねえし、探してやるか。
ホテルから出てたらアウトだな。地理わかんねえし。
とりあえずロビーで聞いてみるか。
……。
時々、思う。
何で俺、庵が好きなんだろ。
庵って明らかに俺の苦手なタイプなんだよな。
なのになんで好きなんだろ。
ゲーニッツの時とは違うんだよな。
他のオロチ関係の奴等とも違う。
首の後ろの辺りがざわざわすんのは同じだけど、でもやっぱちょっと違う。
庵が俺の傍に居るのは当たり前みたいに感じる。
いないと変な感じがする。
庵からは時折愛しいほどの懐かしさを感じる。
幼い頃のわずかな交わりじゃなくて。
もっと遠い所からその声は呼び掛けてくる。
彼を手放してはいけない。
それがどこから来るのかは分かんねえけど、自分の声だということは分かる。
昔はそれに反発してたけど、今はもうそれ程気にならない。
俺が、庵を好きだから。
忘れられない想いはたくさんあるけどさ、今一番大切なのは庵なんだ。
だから、あっ!
「庵!」
目標確認!捕獲!
「全く、どこ行ってたんだよ」
コノヤロウ、この俺サマに捜させんじゃねえよ。
ん、俺、庵にこうされるの好きだな。ぎゅって。
が。
「ちょっと待てコラ」
めいっぱい腕を突っ張ると庵が不満気な顔をした。オイ。
「人の目を気にしろお前は」
俺は良いんだよ俺は。テメエの場合は笑えねえっつーの。
んがしかし。もっとそういうコトしたいっつー思いもあるわけで。
「さっさと部屋、戻ろうぜ」

 

 

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