1月6日の花:トラフアナナス=願いが叶う
ゲニ、京/96




あなたの願いが、叶えばいい。


くっと彼の手が持ち上がる度、自分の足元から竜巻が現れる。
この体を切り裂き貫こうと突き上がる。
「遅いですね」
彼の姿が掻き消え、そして神楽の背後にその姿が現れ、
「お別れです!」
甲高い女の悲鳴が耳を劈いた。
「神楽ァ!!」
自分の喉から発せられた声は掠れていて、風に掻き消されてしまう。
けれどこのびゅうびゅうと風の鳴く中、何故か八神の舌打ちがやけにリアルに聞こえた。
八神は相変わらず彼女たちと共に高みの見物を決め込んでいるというのに。
「さあ、次は貴方です」
酷薄な笑みを浮かべた男がこちらに向き直る。
一歩、また一歩。
ゆっくりとこちらに近付いてくる男の姿に、ぎゅっとグローブをはめ直して気を入れ直す。
「…行くぜッ!」
地を蹴って一気に彼との間合いを詰めると再び掻き消えるその姿。
「ほぉうりゃあ!」
振り向き様に鬼焼きを食らわせると、炎越しに背後に現れた彼が飛び退くのが見えた。
「ならば、これは如何です?」
彼の手が持ち上がり、幾筋もの風の刃が飛んでくる。
「ちっ」
それを横に飛び退いて避け、次の攻撃へと転ずる。
つーかさ。
俺、知ってんだぜ、ゲーニッツ。
あんたの望みはオロチの復活だけど、それは八傑集としてのあんたの望み。
あんたの、あんた自身の本当の願い。
俺は、知ってる。
だから、決めてたんだ。
やっぱりあんたが敵だって事になって、戦うハメになったその時は。
「くらい…やがれぇ!!」
俺は、全てをかけてあんたを倒すって。
「ぐっ…」
俺が、あんたの願いを叶えるから。
「ああ、良い風が来ました…そろそろ頃合いです」
だから、お願いだから。
「いいえ」
ほんの少しでいいから。
「召されるのです、天へ…」
最期くらい、俺を見ろよ。

 

 

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