1月13日の花:ラナンキュラス=あなたは魅力的
マキシマ京/団地妻




マキシマから誘ってくるまでエッチしなーい。
なーんて誓ってみたりして。
……………。
既に五日が過ぎてるってどうよそれ。


K’が出ていき、室内は再びテレビの音だけとなった。
「……」
むすーっとしたまま膝を抱えて画面を眺めている京の隣りにマキシマが腰を下ろす。
「京、その…俺が何かしたか?」
すると京はちらりと視線だけをマキシマに向け、そしてまたテレビへと戻してしまった。
「……別に、何もしてない」
そう、何もしてない。
それが原因なのだが、そうとは知らぬマキシマは京の不機嫌に内心で首を捻るばかりだ。
原因を話すつもりの無いらしい京の態度に、マキシマはじっと京を観察しながら原因を探る。
本日の出来事から昨日、一昨日、数日前へと遡りながら何か彼の気を損ねるような事をしてしまったのだろうか。
「……」
抱えた膝の上に顎を乗せ、つんとへの字に突き出された唇。
バラエティ番組を国会中継を見るように睨んでいる漆黒の瞳。
「…京」
マキシマは応えをまたずしてその無骨な手を伸ばし、さらりと京の髪に手を差し入れる。
そのまま距離を縮め、鳥が啄むような口付けを落とすと京の表情がますます険しくなる。
「…不機嫌だからご機嫌とっとけって?」
低い京の声に、けれどマキシマはさらりと「いいや」と否定した。
「拗ねてる顔も可愛いと思ったらつい、な」
一瞬京はぽかんとマキシマを見上げたが、次の瞬間にはその頬を紅潮させていた。
「かっ…なんっ、は、恥ずい事言うんじゃねえよ!」
「そうか?」
しれっとしているマキシマに、京は「寧ろ寒いっつーの!」と赤い顔のまま声を上げる。
「そうやって赤くなってる顔も好きだがな」
「〜〜〜!!」
もう知らん、といわんばかりに京はマキシマに背を向けてしまう。
けれどマキシマは喉の奥を鳴らして笑うと、その背中をすっぽりと抱き込んで自分の方へと京の体の重心を変えさせた。
「なあ京、一つ頼みが有るんだが」
「…何だよ」
マキシマは京の額にかかる黒髪を別け、その額に口付ける。
「抱いて良いか」
京の目がくるっと真ん丸に開かれた。
「いいぜ」
やがて京は嬉しそうにへらっと笑い、それを受け入れる。
その急な京の態度の軟化に、マキシマはああ、と笑みを洩らした。
そういう事か。

 

 

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