2月5日の花:アネモネ=期待
ゲーニッツ、京/96




きっと今の自分はこんな感じだ。
後ろからそっと目隠しをされている。
そして彼が言う。
右です、左です、次は真っ直ぐ行ってみましょうか。
自分はそのとおりに進んでいく。
目隠しをされているからいつ脚を踏み外すか分からない。
もしかしたら崖に向かって歩いているのかもしれない。
そしてそこに突き落とされるのかもしれない。
けれどその言葉を信じて進んでいく。
目隠しをする手は本当にそっと添えられている程度で。
軽く頭を振ればきっとその手を振り払う事も出来るだろう。
けれど自分はそれをしなかった。
目隠しをされたまま歩くのは怖い。
けれど自分が今何処にいるのかを知るのも怖い。
だから目隠しをされたまま、進んでいく。
いつか彼がその役目に飽き、不意にその目隠しの手を引いてしまうまで。
自分はその手に目隠しをされて進んでいく。
崖に向かっているだろう予感と、草原へ向かっているかもしれないという期待を込めて。

 

 

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