2月25日の花:マンサク=幸福の再来
紅丸、真吾、京/2001




「…ホント、アンタって怒涛の人生送ってるわ」
本日二件目の喫茶店にて、紅丸は盛大な溜息を吐いた。
それにしても、何とも目立つ一行だ。
五人中三人は同じ顔(白一人黒二人)、そしてそれによく似た子供と目付きの悪い赤毛の男。
先程から思い切り注目を集めている。
だが彼らはもう馴れたものなのか、平気な顔で座っている。
「つーことでさ、今は一応こっちに戻って来てるけど、また何かあったらすぐ飛ぶつもり」
定期的にハイデルンらと連絡を取り合っているらしく、ネスツの情報が入ればすぐ現地へと飛ぶ生活が続いているという。
「でも、アンタたちが暴れている間その子はどうしてるの」
「ん、一人は宿に残ってみづきと留守番」
こういう時、人数多いと便利だよな。エンゲル係数高いけど。と京は笑う。
あの頃とは違う、本当に楽しそうな笑みを。
いつも何処か不安げにしながら、それでも必死にあの男に縋りついていたあの頃。
あの男が消えてから自暴自棄になりかけていた。
それを寸での所で捕らえ、そしてここまで花開かせたのは。
「ちょっと八神、京ちゃんを泣かせたら雷落とすからね」
「……」
それに対して何も答えない庵に、京がはっとしてその後頭部を引っ叩いた。
「そういう意味じゃねえっつーの!オヤジ臭え事考えてんじゃねえ!」
「…何も言っていないが」
「テメエの考える事なんてお見通しだっつの!このムッツリスケベ!」
二人の間に座っているみづきはこんな事はいつもの事なのか、ひたすらアイスクリームと格闘している。
「…京ちゃん、楽しそうね」
苦笑混じりに告げると、京はへらりと笑った。
「まあな」
「やあね、御馳走様」
因みに真吾はというと。
「なあ真吾、今度の大会ではさ、短パンで出ろよ」
「いや、あの…」
「そうそう、勿論ノーパンでだぜ」
「だから、その…」
「それで真吾キックやってみろよ、な?」
「…草薙さん助けて…」
京大と京也に絡まれていた。

 

 

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