12月27日の花:プリムラ・オブコニカ(桃)=少年時代の希望 紅丸、庵/97 |
京はアタシの事が好きなのよ。友達以上にね。 おっと、自惚れとか思い込みとかじゃなくってね。 きっと、大門の事もそう思ってるんだと思うわ。 アタシや大門の事が本当に大好きなのよ、あの子は。 どうしてだと思う? トモダチだから、チームメイトだから、仲間だから。 そう、確かにそうね。それもあるわ。 でも、もう一つ大きな理由があるのよ。 年上。これよ。 それもただの年上ってだけじゃダメ。 ワガママを受け入れてくれて、でも行き過ぎた時はちゃんと叱ってくれて。 飛び出していってもそれを見守ってくれる人。 そんなオトコにあの子は弱いのよ。 母親?いいえ、違うわ。 父親よ。 あの子は自分の中の理想の父親像を求めているのよ。 ハハッ、そうね、ファザコンだわ。 包容力があって、優しくて、でもきちんと叱る所は叱ってくれて。 落ち込んだ時は背中を押してくれる。 迷った時にはさり気無く道を示してくれる。 母親の様な柔らかさじゃなく、さり気無い力強さを込めて。 そんな男が自分に手を差し伸べてくれると、あの子はすーぐにふらふら行っちゃうのよ。 ゲーニッツなんて、ホント、あの子の理想通りだったんじゃないかしら。 だけどね、安心しなさいよ。 アンタは明らかにそのタイプじゃないから。 年上じゃなけりゃ包容力がある様には見えないし寧ろ独占欲の塊っぽいし、落ち込んでも見捨てるか背中蹴飛ばすかしそうだしで絶っ対にあの子が靡くような男じゃないもの。 でもあの子はアンタが好きなのよ。 だから、安心しなさい。 アンタはちゃんとアンタ自身を愛されてるのよ。 羨ましい事にね。 え?……ええ、そうよ。 アンタほどじゃないけど、アタシたちだってあの子の中に居るわ。ちゃんとね。 それぐらい知ってるわよ。だからアタシたちはあの子が大切なの。 いい?あの子を悲しませたらタダじゃ置かないから。 そう、それならいいのよ。 信じてあげるわ、八神。 |