「いつまでも一緒にいられたらいいね」
(成歩堂/逆転裁判)




私の名前は成歩堂
成歩堂龍一の妹だ。ちなみに身分は高校生。
私は母親の顔を写真でしか知らない。
なぜなら、母は私が生まれて間もなく首を吊って死んでしまったからだ。
理由なんて分かりきってる。
私のこの眼が、全ての原因なのだ。

父も母も純日本人だ。
当然その息子である兄も黒髪黒目である。
そして私も、黒髪を持って生まれてきた。
けれど、閉ざされた私の瞳が初めて色を写した瞬間、母の世界は壊れたのだろう。

私の瞳は、日本人にはまず有り得ない、銀灰の色をしていた。

それから数日後、母は短い遺言を残して首を吊った。
発見したのは、小学校から帰ってきた兄だったという。
その短い遺言には一切の説明も無く、ただ死を選ぶという事だけを告げていた。
だから結局の所、どうして銀灰の瞳を持つ私が生まれたのか、真実は分からない。
けれどハッキリしていることは一つ。
私と父には、血の繋がりは無い。
キチンとした施設で調べてもらった結果、やはりとしか言えない「答え」だった。
その所為か、私は父に抱き上げてもらったり、撫でてもらったりという記憶が無い。
邪険にこそされなかったが、それでも私の記憶にある父の姿は後姿ばかりだ。
仕事が忙しかったこともあるのだろう。否、今思えば父は仕事に逃げ込んでいたのかもしれない。
父は毎晩きちんと夕食を(不器用ながらも)作りに帰ってきていたが、食事が終われば自室に引きこもって仕事をしていた。
なので自然と私の面倒を見るのは、兄の役割となっていた。
兄は学校が終わるとその足で私の預けられている託児所へ向かっていたという。
小学生が赤子を抱えて歩くその姿は奇異なものだっただろう。
しかし兄は半分しか血の繋がらない私の面倒を見てくれた。
やがて保育園や幼稚園で眼の色が原因で苛められた時も私を庇ってくれた。
私の眼がキレイだと言ってくれた。
私の眼を好きだと言ってくれた。

兄が私の世界の中心だった。

だから、兄が大学生の時、ある女性と付き合いだした時も私は祝福した。
本当は、嫌だった。
兄を誰にも取られたくなかった。
でも、とても素敵な人だったから。
優しくて、清楚で、とっても素敵な人だと思ったから。
だから祝福した。
けれどそれは間違っていた。
兄はその女性に殺されかけた。
兄はショックは受けていたものの、余り懲りていないようだった。
前向きなのは兄の良い所なのだが、しかしこの時ばかりは私も考えを改めざるを得なかった。

いつまでも守ってられてばかりじゃいけない。
私がお兄ちゃんを守らなければ。

そうして私は、変わることを決意した。
兄と、いつまでも一緒に居られるように。
私が、兄を守るのだ。




***
突然ドリーム書き出したよこの女。
しかも続く上に最終的には何夢になるのかわかんねえんだとさ。
あっはっは。

 

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