「ねえ、お兄ちゃん」
いつものように二人で一つのベッドにもぐりこんだ後、妹は不意に問いかけてきた。
「うん?」
「御剣検事とも、こうして一緒に寝たことあるの?」
もし今何かを口にしてたら思い切り噴出していたことだろう。
そんな事、と問おうとして、けれど上手く言葉にならずに「な」を連発する。
すると妹はするりと兄の首に腕を回し、更に身を寄せてきた。
「イヤ。そんなの。お兄ちゃんは私のじゃなきゃイヤ」
拗ねたようにそう言う妹に、どう返したものかと思いあぐねている間にも妹は尚も言い募る。
「私だけを見てくれなきゃイヤ」
「私だけに触れてくれなきゃイヤ」
「私だけを感じてくれなきゃイヤ」
「私だけを信じてくれなきゃイヤ」
ねえ、いやなの。
妹は擦り寄り、兄の唇に口付ける。
頬や額に口付けることはあっても、決して唇にはしなかった暗黙のそれをいとも容易く妹はやってのけた。
唇を合わせる。
唇で唇を甘噛みするように挟まれる。
ちろりと歯列をなぞる小さな舌先。
「や、め…」
しかし兄の懇願に近いそれは紡ぎきる事無く妹の口内に飲み込まれていく。
侵食されていく口内。抗うことも、拒絶することも出来ずただ為すがままになる。

不意にその口付けから開放された。

「どうして拒むの?」

けれど兄が何か言うより早く妹が問いかけた。




「怯えないで。大丈夫。だって私は――」



その言葉はいっそ暴力的なまでに残酷に、兄の理性を打ち砕いた。




私だけを見て私だけに触れて私だけを感じて私だけを信じて。
妹の言葉通り兄はただ只管に妹の身体をまさぐった。
掌に納まる乳房を揉みしだき、その先端を舐った。
密に滑る花芯を指の腹で擦り、熱く胎動するそこへ指を潜り込ませる。
妹の唇から溢れるのは悲鳴のような短い叫びと唾液と兄を呼ぶ声。
唇の端を伝うそれを舐め上げ、幾度目かの口付けとは名ばかりにその口内を貪った。


「怯えないで。大丈夫。だって私は――」


麻薬のようにその言葉だけが脳裏にうわんうわんと響いている。
そうだ、この子は、俺が――

「ひ、ぁあっ、いっ…!」

欲望に滾る己自身で妹を貫いた時、妹の喉が悲鳴とも嬌声とも取れる声を上げた。
そこにコンドームやジェルの気遣いは存在しなかった。
そんなもの、必要なかった。邪魔なだけだ。
女を知らないわけではない。
けれども、それでも妹の中は比べ物にならないほどの快楽を兄に与えた。
それが肉体の齎すものなのか、背徳心が齎すものなのか区別はない。
その吸い付くように蠢く肉壁が震えるような快楽を齎す。
兄はその衝動に任せて腰を振った。
声を上げる妹の脚を限界まで広げ、その肉壁を只管抉った。
ただ獣のように交わり、その欲を叩きつける様に最奥に注ぎ込んだ。
欲を放ってしまえば後はただ荒い息を吐いて妹に覆いかぶさる。
妹も力なくその腕を伸ばし、兄の首筋に絡ませた。
繋がったままのそこが、未だ物欲しげにひくりと蠢いた。







***
なるたけソフトに、さらりと、とを目指したのですがよく分からないことになりました。(爆)

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