「…そこで待ってろ、今からそっち行く!」
(成歩堂/逆転裁判) 私は成歩堂。 成歩堂龍一の妹だ。ちなみに身分は高校生。 …ん?前にもこんなこと思ったような…まあ良い。 とにかく、高校生である私はよくある濃紺のブレザーに深緑のチェック柄スカートを纏い、程々に膨らんだ指定鞄をぶらぶらさせながら岐路についていた。 ちなみにこの指定鞄、中身は教科書なんてモンではない。 教科書やノートなんてもの、教室の机の中に放り込みっぱなしだ。 鞄の中身は、腕が疲れない程度の数冊の小説と筆記用具、あとちょっとしたものだ。 そして鞄の四隅と平面部分には一昔の不良のごとく鉄板が仕込んである。 ついでに言うなら私の履いているこの靴の爪先と踵にも同じ仕込がされている。 勿論、そんなもの兄は知らない。私が勝手に改造したのだ。 全ては我が身を守るため、そしてあの優しい兄を守るためだ。 おっと、携帯が鳴っている。兄だ。 「はい。…うん、今学校出たところ。え?うん、うん、わかった。じゃあ今から行くね」 短い通話を終えて携帯電話をブレザーの内ポケットにしまう。 兄は弁護士で、自分の法律事務所を構えている。 今日は兄と、名目上その部下である真宵ちゃんと一緒にラーメンを食べに行くことになった。 事務所には着替えも置いてあるので、このまま事務所に直行することにする。 おっと、その前にやることがあった。 私は歩きながらスカートを弄る。 腰元で短くしてあるスカートを元の丈に戻したのだ。 これで膝上十センチから膝下十センチへと早代わり。 スカートの丈なんて、別に優等生を気取るわけでもないし、これくらいなら兄も気にしたりしないかもしれないが、少しでもイイコで見せたいと思ってしまうのが乙女心、ならぬ妹心。 その辺の店のウインドウに映った己の姿を上から下までざっとみて、よし、と小さく頷く。 そしてあと少しで事務所にたどり着く、という所で私は携帯電話を取り出した。 素早くメールを打って送信。 『もうすぐつくよ』 すぐさま返って来る返信。 『了解!』 たったそれだけでも嬉しくなって、私は浮き足立ちながら事務所へと向かった。 ほら、もうすぐそこに。 *** 「いつまでも一緒にいられたらいいね」続編。 時期的には2前半くらい。 |