!注意! この話には五巻で誰が死ぬか、についてのネタバレがあります。 未読の方や「私の中でヤツは永遠に不滅です」という方は読まない方が良いです。 読んでから「知らない方がよかった!」とか文句言われても責任持ちません。 あ、あとジェムとジニーが結婚してます。この先を読む方はそれも御了承願います。 大丈夫な方のみ↓へお進み下さい。 たからもの ジニー・ウィーズリーがすぐ上の兄の猛反対を押し切ってジニー・スネイプに変わったのは、今から六年前の事。 そして彼女が一卵性双生児の男児を出産したのは、五年前。 双子の息子達は父親譲りの黒髪に、母親譲りの鳶色の瞳。その顔立ちはどちらかと言えば父親似にている様な気もするのだが、どちらにも似ているというのが双子の父方の祖母の言い分だった。 ただ、性格はとにかく好奇心旺盛で、目を離すとすぐ何かしらの騒ぎを起こすわんぱくどもだった。 「「ママ!ママ見て!!」」 ジニーが洗い物をしていると、件の双子が歓声と共に家の中から飛び出して来た。 「何?」 皿を手にしたまま見下ろすと、彼らはぴったり揃った声で 「「どっちがセドリックでしょう!」」 と胸を張って母親を見上げた。 彼らの衣服は常に色違いの物を着ている。 双子の兄、セドリックには水色のシャツを着せたのをジニーはしっかりと覚えている。 だが、彼女はモスグリーンのシャツを着ている少年を指差して、「あなたがセドリックよ」と笑った。 「「すっげえ!!」」 双子が目を真ん丸に輝かせてジニーを見る。 「ジョージ叔父さんとフレッド叔父さんはいつもこれでモリーおばあちゃんを騙してたって言ってたのに!」 「モリーおばあちゃんもアーサーおじいちゃんも僕をセドリックだって言ったんだよ?!」 ジニーは「ばかね」とクスクス笑った。 「私は生まれた時からあの双子を見て来たもの。あなたたちだってジョージとフレッドの区別がつくでしょう?」 「「うん!」」 すると騒ぎを聞き付けたジェムがリビングから顔を覗かせた。 「何をやっているんだい?」 すると双子は例の如く。 「「どっちがセドリックでしょう!!」」 と胸を張った。 ジェムは彼らの服の色違いに気付き、小さく笑いながらモスグリーンのシャツを着た少年を指差し、 「こっちがセイディだね」 と笑った。 すると双子は「つまんなーい!」と不平を洩らした。 「ジョージとフレッドがよくやってたからね」 けれど、ふとセドリックが「ねえねえ」とジェムのズボンを引っ張った。 「どうしてパパは僕のこと、セイディって呼ぶの?シリウスはシリウスって呼ぶのに」 と、空いた手で弟、シリウスを指差すセドリックにジェムは微かに苦笑した。 「昔、パパにはセドリックと同じ名前のお友達がいたんだよ。パパは彼の事が凄く好きでね。だから彼から名前を貰ったんだ」 するとシリウスが「ずるい!」と声を上げ、セドリックと同じ様にジェムのズボンを引っ張る。 「僕は?僕は?!」 ジェムは微笑いながら二人の頭をくしゃりと撫でた。 「シリウスも、大切な人からその名前を貰ったんだ。二人とも今は遠い所に行ってしまって会う事は出来ないけれど、パパの大切な大切な人の名前なんだよ」 だから、自分の名前を大切にしてくれるとパパはとっても嬉しいよ。 「「うん!大切にする!」」 「さあ、そろそろリリ叔母さんとドラコ叔父さんが来るからお部屋の片付けをしておいで」 「「はぁい!」」 階段を駆け上がっていく二人分の足音を聞きながら、ジニーはジェムに歩み寄った。 「ジェム…」 その心配そうな表情に、ジェムは「大丈夫だよ」と苦笑する。 「セドリックとシリウスを喪った哀しみは、子供達が少しずつ癒してくれる。 それに、彼らと過ごして幸せだった自分を、私は沢山覚えている。 彼らと過ごした日々は全て、掛け替えのないたからものだよ」 すると、頭上からガッターンと大きな音が聞えてきた。 二人は顔を見合わせると、揃って二階へと向かった。 「シリウスー!?セドリーック!?」 「「何でもないよパパ、ママ!!だから来ちゃダメー!!」」 双子の焦った声に、ジェムとジニーは再び顔を見合わせ、ひょいと肩を竦めた。 (END) +−+◇+−+ FF10−2のユウナのCDを購入したのですが・・・何度聞いてもジェムからセドリックへの曲に聞えてしまう私はどうやら自家中毒を起こしているようです。(爆) 何が迷ったかって言うと、セドリックとシリウス、どちらを兄にするか、という事。 結果、シリウスは今度は多少は守られる立場になって欲しかったので弟に。でも結局双子なので大差ありませんけどね。 ちなみに冒頭のジニーのジェムとの結婚を猛反対したのは当然ロンです。(笑)いえ、ジェムに問題があるとかじゃなくて、舅に大問題が。(大笑)そして姓も彼的にはアウトだったらしく、せめて婿養子か夫婦別姓で!と訴えてそうです。「だってお前がジェムと結婚したらスネイプ夫人って呼ばれるんだぜ?!」みたいな。(笑) 関連タイトル:「大切なひと」 (2003/08/07/高槻桂) |