雰囲気的な言葉の欠片:前中後
01.はじまりの前に (村越×達海/ジャイアントキリング) ※一応達海女体化ネタです。ご注意下さい。 これは取引だ。 達海は艶やかに笑う。 「俺は『この身体』で抱かれてみたい。お前は俺の秘密を守るための対価を貰う」 ただそれだけだと『彼』は村越に圧し掛かってきた。 「本当に良いのか」 「怖気づいてんのか?」 それとも、処女は苦手か。 揶揄するような色を滲ませたそれに、村越は達海の腕を引いて体勢を入れ替えた。 見下ろされる形になっても達海の余裕の笑みは消えない。 「後悔するなよ」 達海の笑みが、一層深まった。 *** 連作でちょっとだけニョタッツミーを書いてみようかと。女体化万歳。∩( ・ω・)∩ 02.まるで夢の中の (後藤×達海/ジャイアントキリング) ※一応達海女体化妊娠ネタです。ご注意下さい。 達海の様子がおかしい。 ここ最近後藤はそう感じていた。 食欲もなさげで常に気持ち悪そうにしている。 しかも食べない分、ドクター・ペッパーばかり飲んでいる。 何にせよそんな食生活では良くなるものも良くならない。 そう言って達海を説得すると、彼は漸く思い口を開いた。 達海が語ったのは、後藤には想像を絶するものだった。 曰く、達海は男でありながら女にもなれる体質らしい。 ふざけるのもいい加減にしろ、と言いかけたが、達海が後藤の手を取ってその胸に当てるとふにゃんとした柔らかい感触がして、後藤は慌てて手を引いた。 下も見る?と言われて激しく首を横に振る。 わかった、わかったから、と告げると達海は更に信じられないことを口にした。 どうやら妊娠してしまったらしい、と。 後藤はこれが夢だったらどれだけ楽だろうと思った。 けれどどれだけ願ってもこれが現実で、覆されることは無かった。 「それで、相手は誰なんだ」 痛む頭を抑えながら問えば、小さな声で村越、と達海は呟いた。 「村越は知っているのか」 「知んない。言ってないし。そもそも村越とはそういうんじゃないし」 そういうんじゃない、と達海は言った。 単に利害が一致したから体の関係を持っただけだと、これまた後藤の頭痛を増す発言をしてくれた。 「じゃあ、どうするつもりなんだ」 「今度病院行って堕せるかどうか聞いてみる」 そう視線を伏せて言う達海の両腕を掴み、後藤は膝をついて達海と視線を合わせて言う。 「本当にそれで良いのか」 「…仕方ねえだろ。俺一人じゃ、育てらんねえよ」 その言葉の裏側にある感情を悟った後藤は思わず「だったら、俺と二人で育てよう」と言っていた。 「後藤?」 「俺はお前が好きだ。…こんな時に卑怯かもしれないけれど、お前が好きだから、お前の傷付く姿は見たくない」 だから、二人で育てよう。 そう繰り返すと、達海は「お前の子じゃないんだぜ?」とじっと後藤を見つめ返してくる。 「お前の子だろ?だったら問題ないさ」 まあ、お前が村越の方が良いって言うなら話は別だけど。 そう苦笑する後藤に、ううん、と達海は首を横に振って後藤にしがみ付いた。 「後藤が良い。後藤と一緒にいたい」 俺、産んでも良いの?と呟く達海を後藤は笑って抱きしめた。 *** 長い文章、めんどくさい。(文字書きとして終わってる発言) 03.終わった嘘の後に (後藤×達海/ジャイアントキリング) ※達海に子供がいます。ご注意下さい。 達海の妊娠騒動から早三年。 今ではチーム全体が達海の妊娠出産を受け入れてしまっている。 何せその胎から生まれた子供が実際に存在しているのだから認めざるを得ない。 「今日の練習は終了〜」 相変わらず気の抜けた声で達海が告げると、何人かの選手が一気に後藤の元へと走る。 が、彼らの目当ては後藤ではない。 後藤の腕に抱かれている小さな少女だ。 「みゆちゃん、俺の活躍見てた?」 「みゆちゃんは俺のかっこいー姿見てたんだよなー?」 「あー!ナツさんずっりぃ!俺もみゆちゃんナデナデするー!」 幼い少女はきゃっきゃと彼らの腕の中を渡り歩いている。 「こら、みゆきが汗臭くなるだろ。まずはシャワー浴びて来い」 達海が世良の腕の中からひょいとみゆきを取り上げ、手でしっしっと追いやる。 「はーい!」 「待っててねみゆちゃんー!!」 一同は慌ててクラブハウスの中へと駆けて行った。 「毎回毎回飽きないねえアイツらは」 「みゆきはお前にそっくりだからな」 後藤の言葉に「何だよそれ」と唇を尖らせて達海はみゆきを後藤に渡す。 「俺はこれから夕飯の買出しに行ってくるけど、達海はどうする?」 「んー。一緒に行くから事務所で待ってて。資料だけ準備しておく」 「わかった」 みゆきを連れてクラブハウス内へ向かう後藤の後姿を眺めながら、達海は「なあ」と声をかけた。 「みゆきってどういう字書くか知ってるか」 そこには村越が立っていた。 しかし彼は興味なさげに「ひらがなだろう」とだけ答えて立ち去ろうとする。 「本当は美しい幸せって書くんだぜ。誰かと同じだな、茂る幸せの茂幸君」 ぴたりと村越の足が止まる。 「俺は反対したんだ。けど後藤が、お前のおかげでみゆきが生まれたんだからって」 ばっと村越が振り返る。 「じゃあ…やっぱりあの子は…」 しかし達海は笑うだけで答えない。 「後藤がいなかったら今この幸せは無い。後藤には感謝してるよ」 あとは、と達海はとん、と村越の胸を叩いた。 「お前のおかげで後藤と家族になれた。だから、お前にも感謝してる」 お前も幸せになれよ。 そう言って達海はクラブハウスへと歩いていってしまった。 その後姿を見つめながら村越は唇を噛み締めた。 もしあの時、手を差し伸べたのが後藤で無かったなら。 もっと早く、この想いと向き合っていたのなら。 「…くそっ…」 全ては違っていたのだろうか。 *** ゴトさんの事がなくてもタッツは村越とは家庭を築く気は無かったんじゃないかなあと。 |