雰囲気的な言葉の欠片:赤青黄

01.赤信号を背に
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

達海が赤信号を背に立っている。
達海は何も言わない。
選ぶのは後藤だと知っているからだ。
けれど達海は赤信号を背に立っている。
それは達海なりの意思表示だ。
こちらへは来てはいけないと。
けれど後藤は達海の前に立つ。
達海は少しだけ戸惑ったような表情をして後藤を見上げた。
「俺の答えは決まってるよ、達海」
すっと手を伸ばして達海の心臓を押す。
かちりと音が鳴り、やがて赤信号は黄色の点滅へと変わった。
「青い世界じゃないけれど、お前と一緒に歩いていくよ」



***
赤い世界は間違った世界。青い世界は正しい世界。じゃあ黄色はどんな世界?





02.空は青に暮れ
(羽田×達海/ジャイアントキリング)

空はこんなにも青に暮れているというのに、その一角だけは真っ赤に染まっていた。
真っ赤なその中央には達海が横たわっている。
自らの血に塗れた達海がまるでゴミのように無造作に転がっていた。
彼の周りには沢山の凶器。
「監督を辞めろ」
「イングランドへ帰れ」
言葉という凶器は達海の身体を引き裂き、その命を奪った。
こんな姿が見たかったんじゃない。
羽田は横たわる達海を見下ろして思う。
「じゃあ何を望んでいたの」
横たわった達海が言う。
「俺のこの姿が見たかったんじゃないの」
「違う」
「じゃあ何を望んでいたの」
「俺が望んでいたのは…」



***
お前を認めないための理由がどこかへ行ってしまったら、どうしていいのかわからない。





03.春咲きの黄色
(深作×達海/ジャイアントキリング)

「フカさん、フカさん」
じゃん、と効果音と共に飛び出してきた達海の髪にはたんぽぽが挿さっていた。
「俺、可愛い?」
「アホか」
速攻で切り捨てると達海は「がーん」と自分で言った。
「松っさんたちは可愛いって言ってくれたのに!」
増長させたのはアイツらか。
イラッとしながら深作がもう一度文句の一つでも言ってやろうと達海を改めて見る。
「どう?フカさん」
しかし正直、達海は可愛かった。
というより、元々花なんて挿さなくても達海は可愛いのだ。
それを自覚したくなくて深作はちっと舌打ちして視線を逸らした。
「アホ丸出し」
「えー!」
悪態を吐くのが精々な自分に苛立ちながら深作は足早にその場から逃げた。



***
ツンデレツンデレww

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