雰囲気的な言葉の欠片:起承転結
01.物語の起源 (黒田×達海/ジャイアントキリング) 全ての始まりは、達海の一言からだった。 事もあろうに達海は黒田と黒田の親友である杉江の両方と付き合いたいと言い出したのだ。 当然黒田は反対した。猛烈に反対した。 モラルというものをコンビニで買って来いとまで言った。 しかし結局は達海と杉江、二人がかりの説得に屈してしまった。 否、説得という名の脅迫であったと黒田は思う。 断れば黒田は恋人と親友両方を失いかねなかった。 彼らの言葉が全て本気であったとは思いたくない。 けれど、それに屈してしまったのは事実だった。 そうして、黒田は親友と恋人を共有するという奇特な関係を築く事になった。 *** オノマトペ10直後みたいな。少しずつ続きを書いていけたらなあ。と思う。だけ。(爆) 02.継承される日々 (持田×達海/ジャイアントキリング) ある所に王様がいました。 みんなからとても愛される王様でした。 けれど王様はある日、国外逃亡してしまいました。 そのまま十年、行方知れずでした。 その間に新しい王様が誕生していました。 新しい王様は孤独でした。 そんな中、行方知れずだった王様が見つかりました。 新しい王様は古い王様に言いました。 これからは俺が王様だ。 古い王様は言いました。 うん、それがいい。 古い王様は王様の冠を捨てて市井に入ってしまいました。 新しい王様は少しだけそれが残念でした。 捨てられた王冠を拾い上げ、自分のものと交換しました。 少しだけ、嬉しくなりました。 それから暫くして、新しい王様は王様ではなくなってしまいました。 王様では無くなった王様を、誰も見向きもしません。 そんな中、一人の男が王様の元へやってきました。 それはあの古い王様でした。 王様は言いました。 あなたの王冠は未だ持ってます。あなたに返します。どうか王様になってください。 けれど古い王様は差し出された王冠をぽいっと捨てて、王様の手を引きました。 そんなものはもういらない。さあ行こう。君を迎えに来たんだ。 そうして二人は人込みに紛れ、何処かへ去っていきました。 繋がれた手は、二度と離れることはないでしょう。 *** 何が書きたかったんだっけ?(首傾げ) 03.転じて、一つの終わり (杉江×達海/ジャイアントキリング) 何故達海を想う様になったのか、杉江自身よく分かっていない。 いつ、どうして。一切不明だ。 けれど杉江がそれを自覚したのは、達海が黒田を好きだと知った時だった。 杉江の恋は、自覚すると同時に終わった。筈だった。 達海の黒田へのアプローチ加減は黒田自身から聞いて知っていたし、黒田自身、達海を口で言うほど悪く思ってない事も窺えた。 二人がくっ付くまで時間の問題だと思っていた所で達海からの呼び出しがあったのだ。 そこで達海はとんでもない事を言い出した。 黒田も欲しいが杉江も欲しいと言ったのだ。 アンタにモラルとか常識というものはないんですか。 そう言っても彼は相変わらずの笑みを浮かべたままで。 俺が聞きたいのは、俺が欲しいか欲しくないのか、それだけだ。 欲しい。思わずそう答えていた。 だったらやることは一つだ。達海は笑う。 俺と二人でクロを納得させる。そうすればお前は俺もクロも両方手に入る。 俺がお前とクロを手に入れるように。 それは何よりも甘美な囁きだった。 そうして杉江は達海の言い分を飲んだのだった。 *** 物語の起源の杉江視点。 04.それが僕らの日々の結晶 (杉江×黒田×達海/ジャイアントキリング) 「なあ、スギ」 不意に黒田が呟くように言った。 「俺ら、このままで良いと思うか」 黒田の視線は杉江のベッドで一人寝息を立てる達海へと向けられている。 先ほどまでここで繰り広げられていた饗宴が嘘のような静けさだ。 あれほど淫らに二人を相手にしていた達海も、眠ってしまえば幼子のようなあどけなさを見せる。 「……」 杉江が黙っていると、その沈黙をどう取ったのか黒田は言葉を続ける。 「俺はこんな爛れた関係、いつまでも続くとは思っちゃいねえ。俺は…」 「クロ」 それまで沈黙を保っていた杉江が口を開いた。 「俺は達海さんが好きだ。誰にも渡したくないと思ってる。けど、クロは別だ」 手にしているビールの缶を揺らしながら杉江は言う。 「どちらかが達海さんを独り占めすることでクロとの間に溝が出来るくらいなら、俺は今のままで良い」 「……」 「クロもそう思ってるから、この関係に甘んじているんじゃないのか?」 杉江の言葉に黒田は舌打ちし、手にしていたビールを煽った。 「それに、達海さんは俺ら一人ずつじゃ引きとめきれないさ」 「俺ら一人ずつじゃ無理だっつーのかよ」 「かもな」 達海はきっと一人の所ではじっとしていられないのだ。 二人の間を行き来してるくらいが丁度良いのだろうと杉江は思う。 だからこそ黒田と杉江が選ばれたのではないかと杉江は思っているが、黒田にそれを話した事はない。 黒田はきっと、純粋に達海が黒田と杉江の両方を好きだからだと思っているだろうから。 そんな杉江の思いも知らずに、黒田はどこか拗ねたような表情でビールを煽っている。 黒田は知らなくていい。 打算だとか計算だとか、そんな感情は黒田は知らなくていいのだ。 ただ純粋に、達海との恋愛を楽しめば良いのだ。 いつかきっと、『その時』がきたら杉江は身を引くだろう。 けれどそれまでは。 「まあ、精々捨てられないように二人で繋ぎ止めておくことだな」 「縁起でもねえこと言うなよ!」 三人での恋愛を、楽しもうじゃないか。 *** オノマトペ10更にその後。 |