選択課題・ラブラブな二人へ

相合傘
(緑川×達海/ジャイアントキリング)

雨が降るなんて聞いてない。
達海はコンビニの屋根の下でそうぼやいた。
勿論、天気予報を見てなかった達海の落ち度なのだがそんな事知った事ではない。
達海はたまたま持ってきていた携帯電話を取り出すとメモリの中から一つの番号を取り出した。
画面に表示されているのは「緑川」の文字。
迷わず通話ボタンを押すと、暫く後に達海の好きな低音が耳を擽った。
「ハロー、あなたのタッツミーです」
電話の主は苦笑したようだった。
「うん、雨降って帰れないの。まだクラブハウスいるなら迎えに来て」
わかった、待ってろ、そう言って切ろうとする相手にちょっと待って、と引き止めた。
「傘は一本で良い。うん、相合傘。良いだろ?」
そりゃあ良い、と相手も笑ってくれたので達海は嬉しくなって「なあドリ」と続ける。
「好きだよ」
すると電話の向こうからはそれ以上の言葉が返ってきて。
「…ドリってば、ずるい」
達海はその場で座り込んでしまった。



***
ドリさんの声が好きなタッツミー。





一緒に買い物
(持田×達海/ジャイアントキリング)

持田は変なヤツだ。達海は思う。
誕生日に何が欲しいと聞いたら一緒に出かけたいと言った。
確かに今まで二人で出かけたことなど無かったが、そんな事なら別に今日この日でなくても良いと思った。
けれど持田はそれでいいと言った。
しかもどうやら出先で何かねだろうとかそんな魂胆でもないらしい。
何か欲しいときは自分で勝手に買いに行っている。
というか、初めから達海の財布は当てにしていない感じだ。
単純に達海と外出できるのが楽しいらしい持田に、可愛い所もあるじゃん、などと達海は思う。
「達海さん、達海さん、これちょーウケるんすけど!」
ゲーセンのUFOキャッチャーの景品を指差して笑う姿に自然と達海の頬も緩む。
「取ってやろうか?」
「取れるんすか?」
「昔はそれなりに取ってたけど…まあ何とかなるっしょ」
そうして馬鹿笑いしたり騒いだりしているうちに、達海も理解しだした。
ああそうか、こういう時間って俺らには殆どなかったなあ。と。
大抵が持田の部屋でだらだらと喋って身体をあわせて。そんな日々の繰り返しだった。
偶にはこういうのも良いかもしれない。
「はい、取れたよモッチー」
「すっげえ!マジで取りやがった!ウケる!」
こんな時間も愛しいと思えるくらいには、達海は持田が好きなのだ。
達海は漸くそう、自覚した。



***
偶には可愛い持田でも。





電話越しの二人
(村越×達海/ジャイアントキリング)

報告し忘れたことがあった事を思い出したので、村越は達海に電話をかけていた。
携帯電話を携帯しない達海の事だ。もしこれで出なければもう知るか、と思いつつも、予想に反して達海はすぐに出た。
『ふうん、そう。わかった』
不足分の報告に達海はどこか舌ったらずな声で答えた。もしかしたら寝ていたのかもしれない。
「寝てたのか」
『ううん、村越の事考えながらマスかいてた。あとちょっとでイけそうだったのに』
ぷちっ。
咄嗟に電話を切っていた。
よりによってあの人は何て事を言うのだ。
すると手の中の携帯が再び震えた。画面には「達海猛」の文字。
「……」
村越は逡巡の後、再び携帯を耳に当てた。
「…何だ」
『何だじゃねえよ。何切ってんの』
「アンタが妙な事言うからだろうが。それよりこれ以上何の用だ」
『テレフォンセックスし』ぷちっ。
今度こそ村越は電源ごと携帯を切った。
そしてベッドに投げ捨てると自らもベッドサイドに座り込む。
そして深い溜息を吐いてあの野郎、と呟いた。



***
悶々として寝不足になれば良いよ!!





おそろい
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

「試作品?」
そう、と後藤が差し出したのはパッカの人形がついたストラップだった。
「今度新しいグッズの一つとしてこれが作られたんだ」
「ふうん」
子供のように物珍しげにそれを弄る達海に、後藤の表情が緩む。
「それ、やるよ」
「えー、こんなのどうすんだよ」
「だから、携帯につけるんだよ」
「ああ、携帯につけるやつね」
どうやらストラップが何かもよく分かっていなかったらしい。
本当にコイツはフットボール以外には興味が無いんだな、と後藤は苦笑する。
「つけ方わかんねえ」
「つけてやるよ」
携帯とストラップを受け取って、ストラップをつけてやる。
「あ、その穴ってそのための穴だったんだな」
ほら、と差し出せば「ん、サンキュ」と、とりあえずといった声音の礼が返って来た。
そしてまた物珍しげに弄りだす達海を見ながら後藤は内心でガッツポーズをしていた。
何故ならストラップは二つ貰っていて、一つは達海が現在つけている。
そしてもう一つはというと。
「無くすなよ」
「無くすかよ」
後藤のポケットの中、そこにある携帯にしっかりとつけられていた。



***
タッツは後で気づいて内心で動揺してれば良い。





うたたね
(成田×達海/ジャイアントキリング)

達海がソファの上で転寝をしている。
風邪を引くぞ、と声をかけたが「んー」と寝惚けた声がするだけで起きる気配は無い。
仕方ない、と成田は寝室からブランケットを持ってくると達海の上にそっとかけてやった。
「んん…」
もそもそとソファの上で居心地よい場所を無意識に探している姿は犬か猫のようで。
その髪をそっと撫でてやればほにゃりと達海の顔が緩んだので成田はそっと撫で続ける。
「…きもちいぃ…」
ぽそりと漏れた言葉に、成田は愛しさがこみ上げて思わずその額に口付けていた。
きっといつか達海は成田の元を去る。
けれどそれまでは。
「…達海…」
もう少しだけ、この幸せを噛み締めていたかった。



***
私はどうもナリタツは別れること前提で書いてる節があるww

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