雰囲気的な10の御題:憂

06.雨降り
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

「ん?」
不意に何かに気付いたように達海が窓へと向かう。
「どうした?」
カーテンを避けて窓の外を見る達海は「んー」と生返事を返す。
「あ、やっぱり雨降ってる」
「もう降ってきたのか」
「何、後藤、今日雨降るって知ってたの」
カーテンを直して戻ってくる達海を受け止めながら「天気予報だよ」と笑う。
「朝、偶々見たんだ。予報では夜中って言ってたんだけどな」
「明日は?」
「朝の内は小雨で昼からは曇り」
すると後藤の腕の中で達海は何事か考え込み、不意に顔を上げた。
「後藤ってマメだよな」
「何が」
「だってふつー明日の天気なんて把握してないぜ?」
「天気予報くらい誰だって見るさ」
笑って髪を梳けば、達海はまるで猫のように目を細めて喉を鳴らす。
「ごとう」
後藤は達海のこの甘えたような声が好きだ。
「きもちいい」
もっと、と強請られるがままに後藤は達海の髪を梳く。
それは体を繋げることとはまた違う、幸福な時間だった。



***
タッツはナデナデに弱いと思う。





07.あとひとつ
(村越×達海/ジャイアントキリング)

「なあ、村越ぃ」
ぺったりとくっついてくる達海を引き剥がし、村越は胡散臭いものを見る目で彼を見る。
「今度は何だ」
「喉渇いた。何か持ってきて」
「それくらい自分でやってください」
「誰のせいで動けないと思ってんの」
「アンタが強請るからでしょうが」
自業自得だと切り捨てれば村越のけち、と憎まれ口が返ってくる。
「なあ村越、あといっこお願い」
「聞かんぞ」
どうせ碌な事じゃないと拒めばまた村越のけち、と返ってきた。
「折角キスして欲しい気分だったのに」



***
でももう受付終了なのでキスはしません。残念でした。(笑)




08.流水音
(椿×達海/ジャイアントキリング)

達海は人に髪を洗ってもらうのが好きだ。
最近では特に椿に洗ってもらうのがお気に入りのようだった。
狭いシャワーブースに二人で入って、ひそひそと言葉を交わしながら湯を浴びる。
二人だけの空間で、達海は酷く楽しげだった。
「あーさっぱりした」
髪をかき上げて椿を見ると、彼はじっとそんな達海を見ていた。
「ん、どした」
「あ、いえ、その、オールバックの監督って、なんだか何度見ても新鮮で…」
あの、その、ともごもごと口篭ってしまう椿に達海はにやりと笑って顔を寄せた。
ちゅ、と軽く音を立てて口付けるとそれだけで椿は真っ赤になる。
体を繋げるような関係になっても椿の初心さは未だ変わる事が無く、それが達海を楽しませていた。
「何度でも見せてやるから、また洗ってくれよな」
「は、ハイ!」
子犬のように返事をするその姿がまた可愛くて、達海はもう一度口付けた。



***
オールバックタッツ萌え!!





09.ここにいない
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

偶然立ち寄ったコンビニで、ドクターペッパーを見つけた。
昔、これが好きなやつがいた。
後藤は纏わりつく様なその甘い味が苦手だったけれど、彼はそれは美味そうに飲んでいた。
もう十年も昔の事だけれど、今も忘れることが出来ないでいる。
そんな感傷に浸っているうちに、思わず一缶買ってしまった。
飲めもしないのに、と思いながら苦笑する。
マンションに帰ってポストを開く。
何通かの手紙を手に後藤は部屋に戻った。
リビングへの短い廊下を歩きながら手紙をチェックする。
どれもダイレクトメールばかりで、まとめて捨ててしまおうと思った瞬間。
一通の絵葉書が目に付く。
何気なく裏返して後藤はわが目を疑った。
ごとりと缶の入った袋が落ちた。

イングランドでカントクやってます。タツミ




***
ドクペ美味いよドクペ。(正気です)





10.募る想い
(持田×達海/ジャイアントキリング)

あの人が引退した年齢に追いついた。
あの人が引退した年齢と同じ年齢で俺も引退した。
あの人は呪われろと笑っていた。
呪われろ、お前は同じ道を辿るのだと。
お前は過去の俺だ。
だけど俺は未来のお前ではない。
俺とお前は違う。
それでも俺とお前は同じだ。
呪われろ。
俺という存在に呪われてしまえ。
お前の全ては俺に溺れて終わるのだ。
終わるのだ。


眼が覚めた。

ぼんやりとあの人の声を反芻する。
呪われろと囁いたその声を反芻する。
その声は何度思い出しても自分の声だった。
そうだ、あの人がそんな事言うわけがない。
これは、俺自身の声なんだ。
あの人に呪われてあれ、と。
それはまるで福音のように厳かにこの身に落ちた。



***
ふつーなモチタツを書けんのかアタシは。(爆)

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