選択課題・ベタ

痴漢に遭う
(持田×達海/ジャイアントキリング)

待ち合わせ場所にやってきた達海はどこかげっそりとしていた。
「達海さん、どうかしたんすか」
すると彼はああうん、とだけ言って黙ってしまう。
「達海さん?」
その顔を覗き込めば、彼はあーだのうーだの言って漸く口を開いた。
「何かさー、今日電車込んでたんだけどさー」
「はあ」
「ケツ揉まれた」
「はあ!?」
「最初は何かあたるなーって思ってたらこう、わしっと」
おっさんのケツ揉んで何が楽しいんだろうねえ。
「で、そいつはどうしたんですか」
「え、知らないよそんなの。後ろ見れる状態じゃなかったし」
嫌そうにしながらも暢気に構えている達海に持田は声を上げた。
「達海さんもう電車乗るの禁止!」
「え、じゃあ俺どうやって移動すればいいの」
「俺が車出すから!」
「えー」
「えーじゃない!」
今度から逢う時はクラブハウスまで乗り付けてやる、と持田は思う。
それなら痴漢にも遭わないしETUのヤツラに牽制出来て良い事ずくめだ。
「ハイ決定!反論は許しません!!」
息巻く持田とは正反対に、のへーんとしたままの達海は「へいへい」と頷くのだった。



***
最強のガードマンが誕生しました。(笑)





ナンパされる
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

ちょっと目を離すとすぐコレだ。
後藤は溜息をついて目の前の光景を眺めた。
「ねえ、何処住んでんの?」
軽めの雰囲気の男が馴れ馴れしく語りかける。
「東京」
「じゃあコッチには旅行かなんか?」
「んーん。友達が京都に居るから」
こらこら達海、相手が調子付くから相手にするのはやめろとあれほど言ったのに。
溜息をつくと、男と話していた達海が後藤の姿に気付いてひらりと手を振る。
「ごとー、こっち」
明らかに険を持ってこちらを見てくる男を無視して達海の元へ行くと、何を思ったのか達海は後藤の腕に自らの腕を絡めてきた。
「た、達海?!」
「俺、これからコイツとデートで忙しいから、じゃあな」
行くよ、後藤。
「ちょ、おい、達海!」
「いいからいいから」
ぐいぐいと引っ張られてそのまま達海の後をついていくと、やがてするりと腕を解いた達海が「あーうざかった」とぼやく。
「お前が相手するからだろ」
「だって後藤が居なかったんだもん」
「どういう理屈だよそりゃ」
だから、と達海が後藤を振り返った。
「後藤は俺の傍に居なきゃ駄目ってこと」



***
若タッツはモテモテだと思うんだ!あ、今もか!!





不治の病にかかる
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

なあ後藤、俺病気になっちゃったみたい。
達海は後藤の足を跨いで座るとそう笑った。
「お前と一緒に居ると胸がドキドキして挙動不審になりそうになって困るんだけど」
お前は?と問われ後藤も微笑った。
「そうだな。俺もお前と同じ病気に罹ってるみたいだ」
やっぱり?と達海が後藤の首に腕を回しながら小首を傾げる。
「監督とGMとして、これはユユシキ問題じゃねえ?」
「そうだな、由々しき問題だ」
そっと達海の頬に手を添えると、達海の瞳が何かを期待するように閉じられた。
その瞼を親指でそっと撫で、唇を寄せる。
ふと唇が触れ合った。
僅かに唇を離すと、ごとう、と達海の唇が囁く。
「だから、これは治療だ」
後藤の言葉に達海の唇が笑みを象った。
「余計に酷くなりそう…」
微かな笑い声は、二度目のキスに飲み込まれていった。



***
まったりとしてみた。





子どもになる(身体的)
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

達海がとんでもないことを言い出した。後藤は溜息を吐いた。
達海は満月の夜になると十歳前後の身体へと変貌してしまう体質だ。
そして今夜も小さな達海をマンションに匿っていたのだが。
その小さな身体でセックスしよう、と達海が言い出したのだ。
勿論後藤は反対した。いくら普段の達海と関係を持っているとはいえ、今の姿では話が違う。
第一、後藤に幼児趣味は無い。
だから突っぱねて終わり、のはずだったのだが。
「ん、んむっ…ふあ…ごとー、お前おおきいよ」
咥えきれない、と文句を漏らす達海に「お前が小さいんだよ」と言い返す。
「なあ、達海、本当にいいのか?」
結局、後藤は達海のおねだりに負けてされるがままだ。
「今更そういう事言う?こんなガチガチにしておいて」
ちゅうと先端を吸われ、後藤が短く呻き声を上げた。
「いい加減覚悟決めろよ」
「…後で文句言うなよ」
ぐるりと体勢を入れ替えると、達海がにひっと笑った。
「言わねえよ」



***
ちっちゃいタッツがおっきいゴトさんのを咥えてるシーンだけでお腹一杯になってしまいました!あとはヨロシク!(逃)





子どもを預かる(迷子でも)
(??×達海/ジャイアントキリング)

※前中後の後藤編と村越編のミックスネタです。ご注意下さい。


練習が終わり、村越は保育園へ猛人を迎えに行った。
達海はまだ調べ物があるとかでクラブハウスの「我が家」に篭っている。
放っておけばいつまでもそこから出てこようとしない達海をマンションへ連れ帰るべく村越はクラブハウスへと向かった。
「ん?」
すると、クラブハウスの手前で一人うろうろしている少女を見つけた。
その表情はいかにも不安げで、誰かを探しているという風体であった。
誰かに似ている、と思ったがそれをはっきりとさせるより早く村越は少女に声をかけていた。
「親とはぐれたのか」
村越が声をかけると、少女は途端、表情を明るくして村越の足にしがみ付いてきた。
「むらこし!」
名前を呼ばれて驚く。仲間の子供だろうかとも思ったが、思い当たる節が無い。
けれど少女は顔見知りにあえてほっとしたのか、むらこし、むらこしと跳ねている。
「むらこし、おかあさんがまいごなの。みゆきといっしょにおさんぽしてたのにいなくなっちゃったの」
みゆき、というのがこの少女の名前らしい。
「おとうさん、おともだち?」
猛人がきょとんとして見上げてくる。
村越は膝をついて二人と視線を合わせると、「そうかもしれん」と猛人に言った。
仲間の子でないのならサポーターの子供かもしれない。
そう思って母親の名前を聞くと、みゆきはとんでもない事を言い出した。
「おかあさんはたつみたけしよ。いーてぃーゆーのおうさまなのよ」
村越は一瞬にして混乱に陥った。
そうだ、この子は達海に似ているのだ。
どういう事だ。達海が隠れて産んだ?しかしここ数年そんな素振りは達海には無かった。
女性化もきっちり一週間で元通りになっていたからそれはありえない。
「ぼくのおかあさんもたつみたけしっていうんだよー」
猛人ののんびりとした声を聞きながら村越の混乱は一層深まっていく。
もしや達海が産んだのは猛人だけでなく、双子で、何か事情があって一人を里子に出したのでは、とまで思い始めた頃。
「ねえ、むらこし、おかあさんのところへつれてって」
その言葉にはっとする。
そうだ、本人がすぐそこにいるのだから聞けばいいじゃないか。
「そ、そうだな、行こうか」
走り出したい衝動を抑えながら、村越は幼児二人の歩調に合わせてゆっくりとクラブハウスへと向かった。


その頃、達海もまた混乱の中に居た。
「…ええと」
「…うーん」
目の前に、何故か自分そっくりさんがいる。
というか、自分がいる。
何故こんな事になったのか良くわからない。
達海は自室で調べ物をしていた。
が、途中で強い眠気に誘われて一眠りしようとベッドに入った。
眠ったのはそう長い時間ではないだろう。しかし、目を覚ましたら目の前に自分がいて。
あの衝撃を達海は一生忘れないだろう。
「俺、だよねえ…」
「俺…だなあ…」
二人して腕を組んでうーんと唸る。
とりあえず情報交換をしてみたところ、やはり自分自身に違いはないという結論が出た。
しかし、相違点はあった。
「え、お前の子供、娘なの」
「そう。うちの子、美幸っつーの」
「うち息子。猛人っつーの」
そして何より。
「え、お前村越とデキてんの」
「え、だって村越の子だろ?」
「ああ、いやあ、まあそうなんだけどさ」
「え、じゃあお前誰と付き合ってんの」
「え、俺、後藤」
後藤、ともう一人の達海が目を見開く。
「そ。バレたっていうかバラしたっていうか、それで後藤が…ってまあいいじゃん、細かいことは」
「何だよ、途中で止めんじゃねえよ」
うりうり、と肘で突いていると不意に扉がノックされて顔を見合わせた。
「「待っ…」」
待て、という静止の言葉は間に合わなかった。
鍵をかけてなかった扉はあっさりと開き、村越が姿を現した。
「「げ」」
「………」
三人がぴきりと固まる。
そんな中、小さな塊が飛び込んできて二人の達海のそれぞれに飛び込んでいった。
「「おかあさん!」」
「美幸!」
「猛人!」
それぞれがそれぞれの子供を受け止めると、そういえば、と美幸を抱きとめた方の達海が声を上げた。
「俺、美幸と散歩中だったんだっけ」
それが気付いたらここにいたんだ。
すると美幸が唇を尖らせて言った。
「もう、おかあさんまいごになっちゃ、め、よ」
「あーうん、悪い」
「それで」
村越の低い声が響く。
「どういう事だか説明してもらえますか」
「「俺だって知んないよー!」」
綺麗なユニゾンに村越は額に手を当てる。
何がどうしてこうなった。
すると廊下を駆ける音がして、後藤が息せき切って入ってきた。
「達海!」
「後藤」
「おとうさん」
嬉々とした声を上げた美幸を抱いた達海が目を見開く。
「よかった、逸れたかと思った」
「逸れたってどういうこと?」
「んん…俺もよく分からないんだが、どうも迷子なのは俺達みたいだ」
「ほら、おかあさんまいご」
「お前も迷子なんだぞ、美幸」
「みゆきまいごじゃないもん。おうちのみちしってるもん」
すると達海はそうか、と立ち上がった。
「迷子は俺達か。じゃあ、帰るかな」
ひょいと美幸を後藤に渡して達海はもう一人の達海を振り返った。
「どうも俺らの方が異邦人みたいだから、帰るわ」
「帰れるのか」
村越の言葉に達海は肩を竦める。
「まあ、美幸が道知ってるって言うし?帰れるんじゃない?」
駄目だったらまたここへ戻ってくるさ。
達海はそう笑って後藤の隣に立つ。
「なあ、俺」
「うん?」
「お前、幸せ?」
もう一人の問いかけに達海はふっと笑う。
「まあな」
「そっか。俺も幸せ」
じゃあな、と軽く手を振って扉が閉められた。
遠ざかる足音。
「みゆきちゃん、またあえる?」
猛人の言葉に達海はどうだろうなあと笑う。
「でもま、多分、また会えるさ」
すると村越が「俺は会いたくない」と呟いた。
「何でだよ」
「…アンタが他の男と幸せそうにしている姿は、見たくない」
言い難そうに告げたその内容に、達海はぶっと吹き出して笑った。



***
偶にはこんなパラレルも。

戻る