選択課題・ベタ
子どもが出来る (後藤×女達海/ジャイアントキリング) ※前中後の中の後くらいです。 二人で育てよう、と言った後藤に達海は頷いていた。 正直に言えば、打算もあったのだと思う。 一人で産む覚悟もなければ堕ろす勇気も無い。 だから差し伸べられた手に縋った。 後藤なら、自分とこの子を守ってくれる。そう確信して。 そしてその通りに後藤は何より達海と胎の子を第一に考えてくれた。 自分自身、GM業で忙しいだろうにおくびにも出さず達海を気遣ってくれた。 それがどれだけ達海の支えになったのか、後藤は知らないだろう。 後藤の優しさは達海の村越への想いをも塗り替えていった。 少しずつ村越の事を考える時間が減っていき、その分後藤を想う時間が増えた。 初めてキスをねだった時の後藤の表情が忘れられない。 驚きに目を見開き、本当にいいのか、と聞いてきた。 そのつもりじゃないの?と聞き返せば、いや、そうだけど、と口篭る。 俺は、お前は村越の事が好きだと思ってたから。 最初から、後藤には達海の思いなどばれていたのだ。 それをも受け入れる覚悟で達海に手を差し伸べた後藤に、達海は泣きそうになった。 ばかごとう。 くしゃりと顔を歪めて言った達海に後藤は困ったように笑った。 でもお前、わかってないよ。 俺、お前に惹かれてる。 お前と本当の意味で一緒に生きて生きたいって思い始めてる。 だからお前とキスしたい。 達海の言葉に、後藤は頬を赤くして嬉しそうに微笑った。 そして二人は、初めてキスを交わした。 (バイバイ、村越) 達海の中で後藤と一緒に生きていく、本当の覚悟が決まった瞬間だった。 *** 妊娠四ヶ月くらいの頃の話。 やきもちを焼く (深作×達海/ジャイアントキリング) 「フカさんはさ、この十年で何人くらい付き合ったの」 唐突な質問に深作は目を見張った。 「何だよ、突然」 「何か、急に気になった」 「別にそんな多くねえよ。四人か五人くらいだろ」 長く続いた相手もいれば、すぐに別れた相手もいた。 そう続ければ達海はふうん、と目を半目にして深作を見る。 「じゃあその長く続いた相手とは何で結婚しなかったの」 「そんなの俺の勝手…って何だよ、その顔は」 「何って、どんな顔」 「どんなって…」 まるで嫉妬してるみたいだ、と思って深作は黙った。 まるで、じゃなくて嫉妬しているのだ達海は。 「何、フカさん。黙っちゃって」 ジト目で見てくる達海に、深作は思わず拭きだした。 *** お互いにお互いの過去に嫉妬してればいいよ。 中身が入れ替わる (後藤×達海/ジャイアントキリング) ある日、後藤と達海の精神が入れ替わった。 最初こそパニックに陥ったものの、落ち着いてみれば後は以外と簡単に話がついた。 丁度今日はオフだったこともあり、二人で後藤のマンションに引き籠った。 明日になっても戻らなければ周りに説明をして受け入れてもらうしかない。 だって、自分じゃどうしようもないじゃん。 それが達海の言い分だった。 それもそうかと後藤が何とか納得し、達海の姿をした後藤が夕食の買出しに出かけている間。 その時達海が何をしていたかと言うと。 「うわ、後藤って結構筋肉ついてんのな」 シャツの前を肌蹴て後藤の身体をチェックしていた。 独り言すら後藤の声なので違和感は否めないが仕方ない。 不意に鏡の中の自分、後藤と眼が合って達海はにっと笑ってみた。 自分の笑い方と後藤の笑い方では随分違うな、と思う。 後藤はもっと、こう。 「…達海」 そう、こうして、少し困ったように笑うのが一番似合っている。 「…達海、達海」 後藤の声が自分の名を繰り返す。 それはとても耳障りがよくて達海は目を閉じた。 「…達海、あいしてる」 それはきっと一生聞くことの無い言葉。 耳を擽った甘い囁きは、けれど虚しさばかりを運んできて達海は溜息をついた。 いつからだろう。後藤をそういう対象として見始めたのは。 少なくとも、十年前はまだ違ったはずだ。 後藤からの時折感じる熱い視線に気付かない振りをして、何となく過していた。 それが十年経って再会して、後藤がまだあの熱の篭った視線を持ち続けていた事に気づいたとき。 その時からこの気持ちは始まっていたのかもしれない。 否、もしかしたら十年前の時点で既にもう? けれど達海はそれを口にするつもりは無かったし、後藤も押さえ込む事にしているようだった。 それを口にして今の危ういバランスが崩れるのを、お互いに何より恐れていた。 だから達海から後藤に思いを伝えることはないし、後藤も達海に思いを告げることは無いだろう。 「……」 達海は眼を開いて鏡の中の後藤をじっと見つめる。 「…後藤」 後藤の声で彼の名を呼ぶのはどこか滑稽だった。 けれど、最後にもう一度。 「…愛してるよ」 随分自分に似合わないセリフだ。 そう思って達海は失笑を漏らした。 *** 偶には報われないかんじで。 昔の恋人登場 (持田×達海/ジャイアントキリング) 「達海さん、昨日のテレビ、アレ何」 何、と言われて達海は昨日の事を思い出す。 昨日はとある局でのサッカー番組がやっていた。 そこに達海はゲストとして招かれていたのだが。 「何って?」 何となく持田の言いたいことは分かっていたが、敢えてすっ呆ける。 「何で成田サンと一緒にお呼ばれしてんの」 「いや、他にもいたでしょ」 他はどうでもいいの。持田が詰め寄る。 「隣同士で座っちゃって」 「あれ決めたのディレクターだから」 「いい雰囲気で喋っちゃって」 「まあ険悪にする理由もないし」 「あの後どっか行ったの」 「ご飯食べに行ったよ。みんなで」 「その後は」 「クラブハウスまで送ってもらった」 「誰に」 「…成さんに」 信じらんねえ!と持田が叫ぶ。 「何で昔の恋人とそういうことできるわけ?!しかもそれを平気で俺に話すとかマジありえないんだけど!」 「言わなかったら余計怒るでしょ」 「そうだけど!」 あのね、持田君。達海が溜息混じりに言う。 「前にも言ったけど、成さんとは合宿中だけの関係で、恋愛感情は全く無いの」 「向こうはどう思ってるかわからないだろ!」 「それこそもう関係ないよ。俺が好きなのはモッチーだもん」 すると持田は今度は黙り込んで唇を突き出した。 「…達海さん、ズルイ」 「言っただろ、死ぬまで愛してやるよって」 拗ねる持田の唇に口付けを落とし、達海は笑った。 *** 清06の続きみたいな。 死にかける (杉江×黒田×達海/ジャイアントキリング) 「おい、達海さん、達海さん」 ぺちぺちと頬を叩かれてぼんやりと意識が覚醒する。 「ぅ…」 薄らと目を開けると、どこか不安げな顔をした黒田といつもどおりの杉江の顔があった。 記憶を探ってみて、ああ、気を失ったのかと気付く。 「…おれ、とんでた?」 「飛んでました」 「死んだかと思ったぜ」 「しぬかとおもった」 すると杉江が「あんな無茶するからですよ」と苦笑した。 「自業自得だバカ」 んーと唸って記憶を反芻する。 ちょっと今日は羽目を外しすぎたかもしれない。 二本挿しなんて荒業、気を飛ばして当たり前だ。 でも、と達海は舌ったらずな口調で言う。 「きもちよかった、しにそうなくらい…おまえらは?」 「ばっ、聞くなお前はそういう事をよ!」 「良かったですよ」 正反対の反応に達海はくつくつと喉を鳴らして笑う。 「なあ、キスして」 すぐに覆いかぶさってきたのは杉江だった。 「ん…ふ…」 絡まる舌に微かな苦味を感じ、そういえばコイツ俺の飲んでたな、などと思う。 くちゅ、と音を立てて離れていくそれを惜しいと思うより早く、今度は黒田の唇が落ちてくる。 「んっ…」 また身体の奥に火が灯るのを感じながら、達海はくふんと喉を鳴らした。 *** エロは無いけどエロ指定でお願いします。(土下座) |