甘えんぼな君へ5のお題

ぎゅってしていい?
(杉江×達海/ジャイアントキリング)

「なぁスギ」
並んで試合を見ていた達海が不意に傍らの杉江を呼んだ。
「何ですか」
「ぎゅってしていい?」
珍しい申し出に驚いて傍らを見ると、達海は画面を見たままだ。
「…どうぞ」
すると漸く達海はこちらを見、ん、と頷いて杉江を抱きしめた。
「うーん」
数秒の間、杉江を抱きしめた達海は何故か唸って離れた。
「どうかしましたか」
「あんまり楽しくなかった」
「…そうですか」
達海が何を考えているかさっぱり分からない杉江は、内心で首を傾げながらもとりあえず頷いておく事にした。
すると今度は逆に抱きしめろ、と言われた。
「こうですか?」
言われるがままに抱きしめると、もっと強く、と強請られる。
達海の身体は細くて薄い。
そんなに力を入れては折れてしまいそうだが、思っているより柔軟さを兼ね備えていることも杉江は知っている。
きつく抱きしめると、ほう、と達海が溜息を漏らすのが聞こえた。
「うん、これだ、やっぱり」
もういいよ、と言われて離せば満足げな顔をした達海がいて。
「やっぱり、抱きしめるより抱きしめてもらった方が気持ちいい」
なんて目元を朱に染めてうっとりと言うものだから。
「達海さん、それ、誘ってるんですか」
杉江はそう真顔で問いかけた。



***
杉江と結婚したい。(何だそれ)





仕事仕事って、そればっかり
(持田×達海/ジャイアントキリング)

「もう!達海さんってば!」
持田が突然怒り出したので達海はきょとんとして持田を見た。
「さっきからサッカーサッカーって、そればっかり!」
「何、嫌だったの」
「嫌っていうか、もっとこう、他にもあるじゃん!最近の映画とか!」
「俺映画観ないし」
「最近の流行とか!」
「そういうの気にしないし」
のへーんと達海が返せば持田はとにかく!と拳を固めて言った。
「サッカー以外の話もしましょうよ!」
「うーん。じゃあ、何話そうか」
「ええと…」
そう聞かれてみると何を話していいのか分からなくなる。
だって達海さん、映画観ないし。流行ネタわかんないし。
「あ、そうだ、俺こないだ撮影で…ってこれもサッカーじゃん!」
ああもう!と頭を抱える持田を尻目に達海はどうでもいいじゃん、と笑う。
「俺もモッチーもどうせフットボール馬鹿なんだから、話がそればっかでも良いよ」
俺はそれで楽しいけど、モッチーは違うの?
「…達海さん、狡い」
「ニヒー。年上ですから」
結局、その後もサッカー話で盛り上がり、二人ともサッカー馬鹿なのを再認識させられたのだった。



***
持田は映画好きそうとか勝手に思ってる。





気付いて、独りにしないで
(羽田×達海/ジャイアントキリング)

何時ゝ何処ゝでの試合のDVD見る?
これが達海が羽田を呼び出すためのお決まりの誘い文句だ。
それに誘われてやってきた羽田と二人で並んで試合を見て。
時折他愛も無い話をして。手を触れ合わせて。キスをして。
そうして試合が終わればさっさと羽田は帰ってしまう。
それを達海は引き止めるわけでもなく見送る。
聞き分けのよい子供のように諦めた目で見送る。
ああ、今日も楽しい時間が終わってしまった。
達海が一つ溜息をつくと同時に扉が開かれて再び羽田が入ってきた。
「どうした、何か忘れ物でもした?」
何でもないように問えば、言えよ、と言われてきょとんとする。
「そんな目するくらいなら、帰るなって言えよ」
「…望んでいいの」
それに羽田は答えない。
沈黙を答えと取った達海は、ふるりと唇を震わせて囁くように告げた。
「…まだ帰るな」
俺の、傍にいて。
すると羽田はふんと鼻を鳴らして言った。
「最初からそう言えば良いんだよ」



***
ハタタツが増えますように!!





独りぼっちの夜
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

一人の夜なんて慣れきっている。
けれど時折、無性に人恋しくなる時がある。
そんな時はきつくシーツに包まって眠る。
シーツがまるで自分を抱きしめているような錯覚に陥るからだ。
そして携帯を取り出してリダイアルを押す。
一番上のアドレスにかけて目を閉じる。
『もしもし、達海?』
うん、後藤。俺。
『どうしたんだ、こんな時間に』
うん。ちょっと。
『何か急用か?』
ううん。ただ、掛けたくなっただけ。
『おかしなヤツだな。今部屋か?』
うん。もう寝るとこ。
『そうか。明日も早いんだからもう寝ろよ』
うん、そうする。おやすみ後藤。
『ああ。おやすみ、達海。いい夢見ろよ』
うん。じゃあな。
ぷつり。
通話を終了して携帯を枕元においてまた目を閉じる。
うん、大丈夫。もう大丈夫だ。
これで、眠れる。



***
ゴトさんの声が眠剤代わり。





やっぱり君の隣が好き
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

やっぱり達海の隣が一番落ち着く、と後藤は思う。
心のどこかでまた達海が消えてしまうのではないかと恐れているのかもしれない。
だから目に付く所にいてくれるととても落ち着く。
とは言ってみても。
結局はただ達海が好きだから、という事なのだろうが。
「後藤がにまにましてる」
キモイ、と言う達海に、それでも後藤は顔が緩むのを止められない。
「いや、お前の隣が一番好きだなって思って」
「なにそれ、意味わかんない」
ぷいっと背けられた顔に僅かな朱が上っていたことを後藤は見逃さなかった。
一層後藤の顔が緩む。
「愛してるよ、達海」
「へーへーそりゃどうも」



***
でれでれしやがって!!

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