策士な君へ5のお題

計算尽くの笑顔
(杉江×達海/ジャイアントキリング)

「別に無理して笑わなくていいんですよ」
突然杉江がそんな事言うものだから思わず達海の顔が強張った。
「…突然どったの」
「達海さん、たまに作り笑いしますよね」
「…どうしてわかるの」
見てますから、と杉江は苦笑する。
「スギには隠し事できないのね」
「そういう事です」
でも勘違いすんなよ、と達海は言う。
「つまらないけど無理に笑ってるんじゃなくて、笑いたいのに表情が動いてくれないから作り笑いしてるの」
緊張して変な笑い方になっちゃうから、それよりは作り笑いで誤魔化していたいの。
「変な笑い方でもいいですよ」
「やだ」
恥ずかしい、と唇を尖らせる恋人に、杉江は思わず口付けていた。



***
スギタツはタッツがおどおどしてるのが萌えるかもしれない。(今更)





risk
(村越×女達海/ジャイアントキリング)

※前中後村越編その後です。


産むよ、俺は。達海はそう言い切った。
高齢出産のリスクなんて最初から承知の上だ。
まあ、帝王切開になったらそれはちょっと怖いけど。
だって腹切るんだぜ。怖いに決まってるさ。
だけど、喩えそれしか方法がなかったとしても俺は産むよ。
だからそんな顔すんなよ。
大丈夫だって、お前や子供ら置いて死んだりしねえから。
そう笑う達海を村越は縁起でもない事を言うな、ときつく抱きしめていた。
お前が悪いんじゃないって。流された俺も悪いんだし。村越の腕の中で達海が笑う。
だってまさかこの年で妊娠するとか思わねえじゃん。
とか思って医者に聞けば四十代なら結構いるとか言われるしよ。
六十のばあちゃんでも産めた例があるってさ。すげえな。
そういうのは早く言っておいて欲しいよな。なあ?
はいはい、わかったから。
そう思うんだったら今度からちゃんとゴムのストックはお前が準備しておいてくれ。



***
うっかり生でやったら当たっちゃったらしい。そして繁と健が生まれる、と。





仮面の下で泣いている
(リチャード×達海/ジャイアントキリング)

泣いている。タツミが泣いている。
リチャードはその場で石のように固まってしまった。
たまたま水を飲もうとキッチンへ向かって。
リビングに人影を見て慌てて見返してみればそれは窓辺に座った達海で。
その横顔が泣いているようで、リチャードはその場を動けなくなってしまった。
その頬に涙は流れていない。けれど、いつもより弱い光を宿したその瞳はまるで。
『…あれ、リチャード。なにしてんの』
ふとこちらに気付いた達海が目を丸くしてリチャードを見る。
そこで漸く石化の解けたリチャードが慌ててなんでもない、と手を振った。
『み、水を飲みに来たら君の姿が見えたものだから…!』
『そっか』
『そういう君こそどうしたんだい、こんな時間に』
『月が綺麗だったからさ。見てたんだ』
そう笑う姿はもういつもどおりの達海だ。
その姿にほっとしてリチャードは当初の目的であったミネラルウォーターのボトルを手に取った。
『タツミ、そんなところにいると熱を出すよ』
『大丈夫だって。そこまで軟じゃねえよ』
『早めに寝るんだよ』
わかってる。達海がそう笑って手を振るので、リチャードは安心して部屋へと戻っていった。
「……」
一人取り残された達海の小さな呟きは誰に聞かれることも無く、消えていった。



***
壊れていくタッツが書きたいけどそうなると自分の具合が悪くなるので書けない罠w←笑えない





壁を壊すか、乗り越えるか
(杉江×達海/ジャイアントキリング)

どうしよう。達海は内心で焦っていた。
杉江と手を繋いだ。キスもした。
でもそこから先が想像できない。
だって男と付き合うなんて初めてなのだ。
当然、男とセックスなんてしたこと無い。
多分、自分が女役になるんだろうなあとは思うけれど。
それが現実問題として、どんな風になるのかがわからない。
挿れるとしたら一箇所しかないよなあ、とは思うのだが。
そんなところに本当に入るのか自信が無い。
だけどこれ以上杉江をお預け状態にするのも忍びない。
どれだけ純情カップルだ。そんな状態なのだ今は。
中学生じゃないんだし、いい年した男がセックスに二の足踏んでるってどれだけ。
ここは一つ、案ずるよりも産むが易しという事で。
杉江に迫ってみよう。
達海はそう心に決めて携帯を手に取った。



***
「散歩をする」のその後みたいな。





騙されてあげるよ
(杉江×達海/ジャイアントキリング)

しよう、と達海の方から迫ってきた。
何を、と聞くほど野暮ではない杉江が良いんですか、と問えばいいの、と返される。
キス一つにも途惑いを滲ませる達海がそんな事を言い出したのは意外だったが、彼なりに思うところがあったのだろう。
杉江はそう思って達海に口付ける。
「ん…ふ…」
ざらりとした舌が絡み合い、ぴちゅりと可愛らしくも厭らしい音が響く。
唇を離してその瞳を覗き込めば、やはりそこには途惑いの色があって。
けれど達海なりに覚悟を決めてきているのだろう。
それを不意にするのも申し訳ない気がして杉江はその不安げな瞳には気付かない振りをした。
押し倒しても従順な達海を、せめて少しでも多く感じさせてやりたい。
そう思いながら杉江は達海のシャツに手を掛けた。



***
「壁を壊すか、乗り越えるか」その後。

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