物騒美人五題

一言が命取り
(深作×達海/ジャイアントキリング)

深作とのセックスは、達海が主導権を握ることが殆どだ。
それを達海が不満に思ったことは無い。
いつもは手も繋がせてくれない深作が、身体の何処を触っても文句を言わないからだ。
深作は達海が与える快楽を信用しきっているようで、何をされても結局は受け入れる。
それが達海には堪らない。
そんな深作が、たまに主導権を握りたがる時がある。
どうしたの、と不思議そうに問えば、いいだろ別に、と深作が恥ずかしそうに答える。
「俺だって、お前を気持ちよくしてやりたいんだよ」
途端、達海の頬が紅潮する。
口にするのも憚れるような痴態も平気で演ずる達海が、そのたった一言で陥落させられる。
「…フカさん、それ、反則」
何でだよ、とむっとする深作を尻目に、達海は赤くなった頬を手で覆った。



***
どうもウチのフカタツはまったりしてしまうなあ。





睨まれるのも一興
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

達海は後藤に睨まれるのも好きだ。
滅多に無いそれは達海を興奮させる。
いつもの困りながらも窘めてくる後藤も好きだが、怒りが上回っている後藤にぞくぞくする。
達海、といつもより強い声音で呼ぶ声も。
その眼の奥にある、もどかしさも。
全てが達海を駆り立てる。
なあ、後藤。
もっと、怒って?


***
そしてまた体重が減る後藤さん。





その顔が堪らない
(深作×達海/ジャイアントキリング)

達海は深作が好きだ。これ以上に無いくらい好きだ。
深作にならきっと何をされても許せると思うくらい深作が好きだ。
そんな中で達海が深作の一番好きなところはと言うと、つんとした所だ。
更に言うなら、そうしておきながらもこちらを窺う視線も好きだ。
こちらを気にしている、という感じがして愛しいと思う。
だからついいつもじっと深作を見てしまうのだが。
深作はそれが恥ずかしいらしい。
いつも「こっちばっか見るな」と視界を塞がれてしまう。
けれどそんな深作も堪らなく可愛くて、素直にそういえばお前が言うな、と返される。
ああ、いつまでもこんな日が続けばいいのに。
達海はそう願いながらまた深作の肩に頭を預けるのだ。



***
ツンデレが好きなわけですねわかりますw





崩れる鉄壁
(杉江×達海/ジャイアントキリング)


鉄の壁が崩れた。杉江はそう悟った。
達海はそれまでの強気は何処へやったのか、一変して視線を彷徨わせた。
「…だって、俺、お前らの監督で、男で、三十五だぜ」
「さっきも言いましたけど、構いません。それでもあなたが好きなんです」
杉江の言葉に唇を震わせ、しかしまたきゅっと噤む姿に好きなんです、と囁く。
「そういうのも全てひっくるめてあなたが欲しいんです」
じゃあ、と唇を震わせて達海が言う。
「もし、俺が監督じゃなくなったら?ただの達海猛になったら?」
俺からフットボールを取ったら何も残らないのに。
それでもお前は俺を好きだって言えるの?
「それでもいいです」
杉江は言い切る。
「サッカーで空いた穴は、俺が埋めます。だから、達海さん」
俺と、付き合ってください。
そうして漸く達海が笑った。
「随分大見得切るんだな」
「それくらい言わないと、あなたを手に入れられませんから」
そう言って杉江も笑う。
「…いいよ」
俺の負けだ。達海は肩の力を抜いて苦笑した。
「お前のモンになってやるよ」



***
おどおどタッツシリーズ…なのかこれは?



気まぐれな君
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

猫化した達海というのは随分気紛れだ。
構えと甘えてきたかと思えばすぐにやっぱり触るなと拒否されることなんて当たり前。
後藤のマンションに入るなりやっぱり帰ると言いだすのもしばしば。
あれが飲みたい、これが食べたいなんてものはもう数えたらきりがない。
それでも結局後藤の部屋で大人しくしてくれているのは、それだけ後藤への想いの強さだと後藤は思いたい。
きっと、そうやって我儘をいう事が今の達海にとっての交流手段なのだ。そう思うことにした。
そしてまた。
「ごとー、ドクペ飲みたい」
冷蔵庫にあるぞ、と返せば取ってきて、とせがまれる。
仕方ないな、と苦笑して腰を上げれば、何故か達海まで立ち上がった。
「どうした?」
「やっぱり一緒に行く」
じゃあ自分で取りに行けよ、とは後藤は言わない。そうか、とキッチンへ向かう。
背後に達海が着いてくる気配を感じながら、後藤は小さく微笑った。



***
猫化の時は一層甘やかすゴトさん。

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