咎人五題

報いを受ける覚悟は出来ている
(深作×達海/ジャイアントキリング)

幸せなんだ。
俺、今すっごく幸せ。
フカさんがそこにいて、俺を好きだって言ってくれる。
手を合わせて触れ合って、肌をも合わせて重なって。
こんなにも幸せなんだ。
だからいいよ。
いつかこの幸せの報いを受ける事になっても構わない。
フカさんが幸せでいてくれるなら、それでいい。



***
フカタツのタッツがどんどん病んでいくんだが…何故だ。





毎夜夢見る地獄へ
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

あの頃、毎晩同じ夢を見ていた。
苦しくて苦しくて、何度も夜中に飛び起きた。
その度に後藤からのエアメールを握って寝た。
開ける事の出来ない手紙。
読んでしまったらきっと駄目になる。
何が駄目になるのか、漠然としたものしか分からない。
けれどきっと駄目になる。そう確信だけがあった。
だから読まずにおいた手紙。
それを手にしているとどこか温かい気分になれる。
きっとこれからも封を開けることは無いだろう。
だけど後藤。
お前の手紙は、俺を救っていたよ。



***
握り締めてくしゃくしゃになった封筒に萌える。(なにそれ)





(何もかもあんたのせいだ)
(深作×達海/ジャイアントキリング)

幸せ、なんだろう。
俺は今、きっと幸せなのだ。
達海が目の前に居て、俺を好きだと言う。
手で触れて、唇で触れて、全てで触れて。
何という充足感。
堕落してしまいそうなほどのそれ。
いつかこの幸せの報いを受ける事になるとしたらそれは。
(何もかも、お前のせいだ)
だから、堕ちるときはお前も一緒だ。



***
「報いを受ける覚悟は出来ている」深作視点。





ゆるやかに落下する
(リチャード×達海/ジャイアントキリング)

虫がいる、と思うようになったのはリハビリを始めてすぐの頃だった。
どこから入ったのか知らないが、いつも達海の視界の端をちらちらと動き回っている。
色が黒いというのはわかるのだが、それ以外は一切分からない。
どんなディティールを持つ虫なのか、さっぱりわからない。
まあ、そんなものわかりたくもないが。
ただ、少し鬱陶しかった。
次の日も、また次の日も達海の視界の端でちらちらと飛んでいて、気に障る。
ある日、とうとう我慢が出来なくてリチャードに虫が邪魔だと言った。
そうしたらリチャードは不思議そうな顔をして。
虫なんているかい?
そんな事を言った。
今だってそこを飛んでいるじゃないかと説明してもリチャードには伝わらない。
やがて心配したリチャードが医者に相談した。
するとすぐに眼科に回されて色々な検査をさせられた。面倒だ。言うんじゃなかった。
けれど結果は異常なし。無駄足だ。
その代わり薬が一錠増えた。精神安定剤だと説明された。
はあ?
達海は首を傾げた。何故そんなものを飲まないといけないのだろうか。
リチャードはタツミは少し疲れてるんだよ、眠っているようで、眠れていないかもしれない。そう説明した。
だから少し眠りを深くする薬だ。大丈夫、虫もすぐいなくなるよ。
リチャードのどこかおどおどした説明にむっとしながらも、これで虫が見えなくなるならいいか、とそれを飲む事にした。
虫はすぐには消えてくれなかった。
けれど薬を飲み始めて一週間が過ぎた頃、虫は綺麗にいなくなった。
やはり少し疲れていたのだろうか。虫がいなくなってからも安定剤は続けて飲むように言われた。
それから暫くして。
虫はまた、達海の視界に現れた。
(やっぱり消えてはくれないんだな)
そんな予感はしていたさ。達海は褪めた目でそれを追った。



***
自分の経験をそのまま達海にトレスさせてるだけなので説明臭いww



償う術はただひとつ
(リチャード×達海/ジャイアントキリング)

タツミが壊れかかっている。
タツミの心が壊れかかっている。
前兆はあった。
リハビリを始めた頃からどこかおかしな事を言うようになっていた。
タツミは最初は俺達と同じ様にそれを異常だと認識していた。
認識して、それを治そうとしていた。
けれど今は違う。
タツミは諦めることによってそれらを受け入れてしまった。
いけない、いけない。
タツミ、それは受け入れてはいけないものなんだ。
異常だと認識し続けなければそれはどんどん侵食していってしまう。
抵抗してくれ、お願いだから。
何だってする。君のためなら何だったしよう。
だって君をここへ連れてきたのは俺なんだから。
ずっと傍にいる。君が俺を要らないといったとしても。
君があの頃の、あの町にいた頃の君に戻るまで。
俺は君の傍にいるよ。



***
侵食は速いから気をつけて。

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