あいうえお題

話がしたいんだ
(リチャード×達海/ジャイアントキリング)

タツミのポケットから何かが落ちた。
『タッツ、何か落ちたよ』
拾い上げると、くしゃくしゃになったエアメールだった。
『あ…悪い』
ありがとう、と受け取るタツミの目の下には濃い隈が出来ている。
余り眠れていないのだろう、睡眠導入剤は使っているのかと聞けばいらない、と応えが返ってくる。
『でもタッツ、眠れないよりは良いだろう?』
『眠くないんだ。だからいい』
それが異常なんだと今のタツミにはわからない。
気を紛らわせるように手にしたエアメールを何度も握りつぶすその姿に、痛ましさを覚える。
『なあ、タッツ、その名前は何て読むんだい?』
それ、とエアメールを指差して言うと、彼は少し戸惑った後、教えてくれた。
ゴトウコウセイ、と。
リチャードはその名を脳内で反復する。
ゴトウコウセイ。後藤恒生。
『よく手紙が来てたみたいだけど、ゴトウとタッツは親友なのかい?』
しかしタツミは緩やかに首を振った。よくわからない、と。
よくわからない。
最近、タツミはよくその言葉を使う。
調子を聞いてもよくわからない。
食事を美味しいかと聞いてもよくわからない。
今、タツミは外との繋がりを極端に避け、世界を閉じてしまっている。
それでは駄目だと思うのだが、しかし無理に引っ張り出すことも出来ない。
リチャードに出来るのは、出来るだけタツミと会話をすることだけだった。
『これから庭の草刈をするんだけど一緒にやるかい?』
『…やめとく』
じゃあ見ているだけでいいから、とリチャードはタツミをテラスへと導く。
少しでもタツミを日の光の下に居させたかった。
それが僅かでもタツミの心を癒すと信じて、リチャードはタツミの手を引いた。



***
後藤が邪魔でリチャードとタッツの間が一向に縮まりませんww





秘密旅行
(佐倉×達海/ジャイアントキリング)

二人が付き合うようになって三ヶ月。
毎日メールをして、時折電話をしたり隙を見てお互いに行き来したりもして、となかなかの恋愛ぶりを発揮していた。
そんな頃、達海が温泉、行かない?と言い出した。
テレビを見ていて行きたくなったらしくて、佐倉がそれを了承すると話はとんとん拍子に進んだ。
そして達海が言い出してから一ヶ月もしないうちに二人はとある温泉宿へと向かっていた。
新幹線から列車に乗り継ぎ、向かい合って座って駅弁なんて食べてみたりして。
他愛もない事を話しながら気付けば降りる駅が近付いていて。
辿り着いた駅は小さかったが思ったより寂れていなかった。
やはりそこそこ有名な温泉街だからだろうか、人も結構居る。
タクシーに乗って旅館まで辿り着いて、仲居に案内された先は離れの部屋で。
予約を全て佐倉に任せていた達海はへえ、と目を輝かせて部屋を見回した。
「すっげ、露天風呂付いてる」
「折角だから、ゆっくり出来たほうがいいと思って」
はしゃぐ達海に佐倉が微笑む。
「夕食まで時間があります。先に一風呂浴びてきたらどうです?」
「え、サックラーも一緒に入るんでしょ?」
当然と言わんばかりの達海の問いかけに、佐倉は途端、真っ赤になってまさか!と首を振った。
「そ、そんな滅相もない!」
「何がメッソウモナイの、お付き合いしてるんだからそれくらいいいでしょ」
すると佐倉は真っ赤なまま消え入りそうな声で「そ、そうですね」と答えた。
「じゃあ、一緒に入ろうか」
達海はにっと笑って佐倉の手を握った。



***
じりじりと進展中。ネタ提供ありがとうございました!!





ふたりきり
(佐倉×達海/ジャイアントキリング)

※「秘密旅行」の続きです。


豪勢な夕食に舌鼓を打って、サッカーの事を話しながらだらだらと酒を呑んで。
お互いほろ酔い気分になってきた頃、達海がねえ、と佐倉を見た。
「サックラーはさ、俺を抱きたいの、俺に抱かれたいの」
ごふ、と佐倉が酒に噎せた。
「そそそそそんな、」
「また、メッソウモナイ?」
達海が笑う。
「だって俺たち付き合って三ヶ月だぜ?そろそろハッキリさせようぜ」
手を繋いだ、キスもした。だったらそろそろ考えてくれてもいいんじゃない?
急かすつもりは無いけれど、と達海は佐倉の隣に座ってその肩に凭れ掛かる。
「折角こういうチャンスなんだし、ね、サックラー」
凭れ掛かりながら佐倉の顔を見上げると、見事に耳まで赤くして佐倉は俯いていた。
「俺はどっちでもいいよ。サックラーはどっちがいいの?」
長い沈黙の後、佐倉は震えるほど小さな声で告げた。
タッツミーを抱きたいです、と。
達海はうん、と頷いて佐倉の頬に唇を落とした。



***
お花ちゃんコンビが熱い!





平和の子
(??/ジャイアントキリング)

※前中後村越編その後


母さんと後藤おじさんはとても仲が良い。
二人が話していると、どこか空気が違う。
父さんと母さんが一緒に居るときのような快活な空気ではない。
どこか優しい、穏やかな空気だ。
その空気の一員になりたくて、ずっと焦がれているけれど。
優しいそれは決して僕のものにはならない。
母さんと後藤おじさんだけのものなのだ。
一度、父さんに聞いたことがある。
父さんは悔しくないのかと。
父さんは悔しいさ、と言った。
だけど、親愛にまでやきもちを焼いていたら身が持たない。
そう苦笑した父さんの横顔は優しい色をしていて。
父さんも母さんも後藤さんも大好きだけど。
僕の知らない三人の過去に、何だか仲間はずれにされたような気がして。
僕は唇を尖らせて黙るしかなかった。



***
猛人思春期。





欲しがりな君
(×達海/ジャイアントキリング)

※「ふたりきり」の続きです。


佐倉の愛撫は快楽よりくすぐったさの方が勝った。
それくらい恐る恐るとした触れ方に、思わず達海の喉からはくつくつと笑い声が漏れる。
「サックラー、くすぐったいよ」
「す、すみません、タッツミー」
「いいよ、好きにしてみなよ」
途惑いの残る手が達海の身体の上を彷徨う。
「ん…」
指の腹が偶々胸の尖りを掠り、思わずぴくりと達海の身体が揺れた。
「…ここ、いいんですか?」
きゅ、とそこを摘まれて達海の喉がまた鳴る。
「ん…気持ちいいかも…ぁ…」
佐倉の指がそこを押しつぶすように動き、反対側の尖りをそろりと舌先が突いた。
「ん、ん…」
ちゅ、ぴちゅ。静かな和室に水音が響く。
そのもどかしい快感に達海の腰が揺れた。
「ね、下も触って…?」
「は、はい…」
言われるがままに佐倉の手が下肢に伸びる。
ボクサーパンツの下で緩やかに兆しを見せ始めているそれを布越しにそっと撫でると、それはぴくりと震えた。
「…脱がせても、いいですか?」
「いいよ…」
脱がせやすいように腰を僅かに浮かせると、恐る恐るというふうに下着を剥がれた。
ふるりと現れたそれにごくりと佐倉の喉が鳴る。
引き寄せられるようにそこへ唇を落とすと、達海が鳴いた。
「あ、や、そんなの…」
己の行動に佐倉自身、驚いていた。自分がまさかこんな大胆な事が出来るなんて。
思わず、というのが正直な所だったが、しかし唇で愛撫することに抵抗は無かった。
唇で下から上へと形をなぞるようにして滑らせれば、それは見る間に大きさを変えていった。
唇が先端まで辿り着くと、ちろりとその先端を舐める。
あ、とまた達海の唇から声が漏れるのが嬉しくて、佐倉はそれを口内へと迎え入れた。
「あ、あ…!」
達海の細い両足がまるで佐倉を逃がさないようにというようにその身体を挟み込む。
それに応える様に一層ストローク深く咥えこめば達海の唇からは甘い声が漏れた。
「だ、め、サックラー、でちゃう…!」
髪に差し込まれた指が佐倉の頭を押し退けようとする。
それに従って唇を離すとそれを待ち望んでいたかのように達海自身から白濁とした精が吐き出された。
ぱたた、と達海の白い腹を汚すそれに佐倉の下肢が疼く。
「タ…達海さん」
「な、に…」
「本当に、良いんですか」
欲を滲ませながらも途惑いの表情で見下ろしてくる佐倉に、達海はへにゃりと笑った。
「いいよ」
して、という達海の言葉に佐倉は腹に散った精液を指に絡め、密やかなそこへと指を当てた。
「痛かったら言って下さい」
「うん」
ぬくりと指が入ってくる感触に達海の背が震える。
大丈夫ですか、と心配げに問う佐倉に、変な感じがするだけ、と笑う。
ぬく、ぬくりとゆっくり出し入れされ、次第に腰に熱が溜まっていくのを達海は感じていた。
やがて一本が二本に増やされ、三本になった頃。
「ぁっ」
ある一点を指の腹が擦り、達海は思わず声を上げていた。
「いまの、なんか、へん…」
「ここ、ですか?」
「ひあっ、あ、そこ…!」
僅かな膨らみを潰すように擦れば達海は我慢が出来ないという様に腰を揺らめかせる。
「…達海さん…」
「あ…」
佐倉がずるりと指を抜き、その代わりに自身の猛ったものを押し当てると達海が期待に満ちた目で佐倉を見上げてきた。
その視線に応えるように佐倉は抱え上げた達海の足に唇を落とすと、ゆっくりと腰を進めた。
「あ、あ…!」
指とは比べ物にならない熱さと質量を兼ね備えたそれが押し入ってくる感触に達海の眼が見開かれる。
「っ…達海さん…!」
「ああっ、あ、あ…!」
入り口のきつい締め付けと中の熱いうねりに強い射精感を感じながらも佐倉は奥歯を噛み締めて耐えた。
「達海さん…!」
根元まで埋め込むと、佐倉は思わず達海を抱きしめていた。
きつく抱きしめたまま腰を動かすと達海の唇から嬌声が漏れる。
「達海さん、達海さん、達海さん…!」
一度動いてしまえば後は止まらなかった。
ぐちぐちと音を立てるそこへ何度も腰を打ちつけた。
あ、あ、とどちらの声か分からないまま、二人は絶頂へと駆け上っていく。
「達海さんっ…!」
一層強く奥を抉って吐精すると、達海も腕の中で震えて達した。
「…っは…は…」
荒い息の中で達海が小さく言う。
キスして。
ちゅ、と軽いキスを何度も落とし、やがて濃くなっていくそれに二人はお互いの身体を掻き抱いた。



***
サックラーが意外に頑張ってくれたwww

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