あいうえお題
雷鳴の後で (持田×達海/ジャイアントキリング) 真夜中、雷が煩くて目が覚めた。 寝た頃はただ雨が降っていただけだったのに。 こりゃ明日は室内トレーニングかな、なんて思いながら時折明るくなる天井をぼんやりと見上げる。 すると、軽やかなメロディが室内に響いた。 携帯電話が鳴ってる。 達海はのそりと手を伸ばしてテーブルの上の携帯を手に取る。 明るい光を発する画面には、持田の文字。 あいつ何でこんな時間に。 そう考える間にもメロディは早く出ろと言わんばかりに鳴り響く。 はいはい、出ますよ。 通話ボタンを押して耳に当てると、寝てた?達海さん。と楽しそうな声がした。 「寝てた。けど起きてた」 『ぎゃは!それどっちですか』 「寝てたけど、雷煩くて目が覚めたら電話かかってきた」 『ナイスタイミング俺!』 「それで、なに?どうしたのこんな時間に」 『俺も今、雷煩くて目が覚めたんです。変な時間に目が覚めて暇だったんで掛けてみました』 「俺を起こすことに罪悪感は無いわけ」 『起こすまでもなく起きてたじゃないですか』 「モッチー、結果論って知ってる?」 『知ってます、結果オーライってことですよね』 「…まあいいや」 ねえ達海さん。持田の声のトーンが下がる。 「なあにモッチー」 『今からそっち行ってもいい?』 「だーめ。身体冷やしたらどうするの」 『あれ、優しいんすね、達海さん』 「知らなかった?」 すっ呆けて言うと、電話の向こうでまた笑い声がした。 『初めて知りました』 「おっかしいなあ」 なあモッチー。達海は優しい声で言う。 「今は来たら怒るけど、この雨が止んだら来ても良いよ」 じゃあ達海さん。持田もまた柔らかな声で言う。 『止むまで話しましょうよ』 「俺が眠気に耐えられるまではね」 寝かせませんよ、と笑う声に、達海もまた喉を鳴らして笑った。 夜明けまでは、まだ遠い。 *** たまにはまったりしたモチタツを。 リナリア (成田×達海/ジャイアントキリング) スポーツニュースの収録に呼ばれた成田はそこで十年ぶりに達海と再会した。 十年ぶりに再会した達海は、十年前と比べて酷く痩せていた。 あの頃も細い方だったが、今は明らかに痩せている。 成田は握手した時に見えた手首の細さに痛ましさを覚えた。 「久しぶり、だな」 収録が終わり、成田はそう声をかける。 達海が打ち合わせに遅れてきたために今まで碌に会話も出来なかったのだ。 「ん、元気そうだね」 「まあな」 並んで歩きながら当たり障りのない事を話した。 話しながら成田はそうじゃないだろうと自分を叱咤する。 お前が聞きたいのはそんな事じゃないだろう。 「…なあ、達海」 ロビーへ出た所で成田は足を止めて達海を見た。 「なに?」 達海もまた足を止めて成田を見る。 「これから、時間あるか」 「……」 達海は成田の心を探るようにじっと見つめてくる。 その瞳から視線を逸らしたくなる衝動に駆られながらも見つめ返していると、やがてふいっと達海の方から視線を逸らした。 「…メシ、奢ってくれるならいーよ」 ぼそりと呟かれたその言葉に成田は、情けないくらいほっとしている自分に気付いた。 *** 誘いを受け入れるか断るかで三十分くらい悩んだwww 類似する二つの事象 (成田×達海/ジャイアントキリング) 「成さんち行きたい」 日本酒をちびりちびりと飲んでいた達海はそう言い出した。 いいのか、と問えば、最初からそのつもりなんじゃないの、と返されて応えに窮した。 帰りの車内では二人ともひたすらに無言だった。 達海が何を考えているかはわからない。 けれど、成田は自分が口を開けないのは気まずさからだと自覚していた。 こうなることを望んだのは自分だ。 しかしいざ事が思い通りに運んでしまうとどうして良いか分からない。 達海は何を思って成田の誘いに乗ったのだろう。 まだ、達海の中に成田という存在が残っているのだと、思って良いのだろうか。 それとも。 「…引っ越したんだ、成さん」 駐車場に車を止めると、そこで初めて達海が口を開いた。 「俺には広すぎたからな、あの部屋は」 車から降りて部屋に辿り着くまで、二人はまた無言だった。 救いだったのは、達海が物珍しそうにあちこちを楽しげに見回していたことだ。 先ほどまでの重い沈黙よりはるかに良い。 部屋に入ると「どっちにしろ広い方じゃん」と達海はむくれた様に呟いていた。 「何か飲むか」 「ドクペ」 「あるわけないだろう」 「じゃあ何があるの」 「コーヒーかウーロン茶」 すると達海はじゃあいらない、と成田の腕の中に飛び込んできた。 「な、んだ?」 突然の事に目を白黒させていると達海は可笑しそうに喉を鳴らした。 「寝室、案内してよ」 「…本当に、いいのか」 成さんそればっか。達海が笑う。 「…いいよ。抱いてよ成さん」 その言葉に、成田は漸く達海を抱きしめた。 *** 「リナリア」の続き。実は清02の続き…なのかもしれない。(爆) 冷酷なまでに愛しい (成田×達海/ジャイアントキリング) 成田の下で達海は淫らに誘った。 「も、成さん、欲し…」 きゅう、と成田の指を締め付ける感触に成田は達海の唇に口付けを落とす。 ずるりと指を引き抜き、代わりに熱くそそり立つ自身を押し当てると達海の腰が期待に揺らいだ。 途端、鳴り響いたメロディに思わず二人は顔を見合わせた。 床に散らばった達海のジャケットのポケットから携帯電話が零れ落ちている。音源はそれだった。 「…鳴ってるぞ」 「…後でいい」 だがそのディスプレイに表示されている名前が「後藤」だと知覚した途端、成田の中で何かが蠢いた。 「…後藤だぞ。急ぎかもしれん」 「……」 達海は逡巡したがやがて腕を伸ばして携帯を取った。 「…はい。…うん、終わった」 ちらりとこちらを気にしながら話すその表情に、隠し切れない喜色を見つけて成田は悟る。 ああ、やはりお前はまだ。 「……」 「うん、遅くなるから…え、ちょ、」 突然脚を抱え上げた成田に達海が動揺の声を上げる。 その声を無視して成田は滾る自身を押し当て、強引に腰を進めた。 「あ、んんんっ…!」 堪えきれない喘ぎが達海の喉を鳴らす。 逃げようとする腰を掴んで根元まで押し込むとまた甲高い声が上がった。 「な、で、成さんっ、や、ぁ、あっ…!」 成田は達海の奥を抉りながらその手から携帯を奪い取り、通話をオフにすると散らばった服の上に放り捨てた。 「あ、あっ、やだ、成さん、ばか、やっ…」 突っぱねて成田を押し戻そうとする腕を捉え、達海の頭の上で一括りにする。 それでも足をバタつかせて暴れていた達海は、成田の律動にやがて大人しくなった。 「あっ、あっ、や、成さ、」 次第に快楽を追う様になった達海の内壁がきつく収縮する。 その動きに合わせて律動を早めるとやがて絶頂は訪れた。 「…っ…」 「あ、ああっ!」 中に吐き出された生暖かい感触に達海もまた足を引き攣らせて達した。 成田は自身を達海の最奥に押し込めたままその細い身体をきつく抱きしめる。 達海はただ、抱きしめられるがままに呆然としていた。 *** 「類似する二つの事象」続き。お、終わらない…orz ろくでなしの恋 (成田×達海/ジャイアントキリング) 使用済みのゴムをティッシュで包んで捨てると、ぼんやりと天井を見上げていた達海がぼそりと言った。 「…なんであんな事したの」 あんな事、というのは後藤との通話中に強引に事を進めたことを示している。 「…どうしてだと思う」 質問を質問で返す応えに達海は苛立ったようで、むくりと起き上がった。 「なにそれ。…わかんないよ、そんなの」 唇を尖らせてそっぽを向くその手を取ると、嫌がるように逃げた。 それでも追いかけて握ると、今度は諦めたのか握られるがままになる。 「…お前はその答えが本当に欲しいのか」 「…どういう意味」 「……」 分からないならそれでいい。成田はそう呟いて達海の指に己の指を絡める。 やはりお前はまだ、あの男が好きなんだな。 そして俺はまた、態のいい身代わりか。 「…なんで成さん笑ってるの。俺、怒ってるんだけど」 「…どうしてだろうな」 ぐいっと腕を引き寄せて抱きこむと、達海は今度は大人しく抱かれるがままになっていた。 「…お前、本当は全部分かってるんだろう」 「…何のことだか、わかんないよ」 お前がそうやって目を背けるならそれで良い。成田は達海の顎を持ち上げてその唇を食む。 「なら、一生分からないままでいろ」 そうしてずっと、俺の腕の中で目を閉じていればいい。 *** 「冷酷なまでに愛しい」続き。 |