あいうえお題
さあ、どれがいい? (村越×女達海/ジャイアントキリング) ※「夢のランジェリー」後日談・村越編。 村越が風呂から上がると、達海はリビングで何枚ものブラジャーとショーツを広げていた。 「…何をしている」 そういえば先ほど何やら荷物が届いていてようだが、その中身がコレのようだった。 「これさー皆が選んでくれたんだけど、どれから使えばいいと思う?」 色々あって迷う。 そういう達海に、好きな色から使えば良いんじゃないのか、と言えばそれはそうなんだけど、と返される。 「お前はどれが好き?」 因みにこれが丹波が選んだやつで、こっちが赤崎、堺、石神、世良、椿。だったはず。 「何色が似合うと思う?」 そう聞かれ、思わず緑、と答えていた。 「…緑は無いはずなんだけどなあ」 床に広げられた下着を見下ろす達海に、いや、そうじゃなくて、と言いよどむ。 「…何色が似合うか、聞かれたから…アンタは緑のジャケットのイメージが強いから、つい」 口元を押さえてもごもごと言い訳をする村越に、達海はにっと笑って村越に抱きついた。 「緑のブラは買ってないけどさ、今夜はお前が好きなヤツ、着けてやるよ」 どれがいい? にやーとした笑顔の達海に問われ、村越が選んだのは。 「…お前、やっぱりムッツリなんだな」 「…何でそうなる」 「黒に黄色模様はムッツリだって石神が言ってた」 真顔で言う達海に、村越は明日石神と顔を合わせたらシメてやろうと思った。 *** 村越編ではこんな事があったそうですよ。(笑)ネタ提供ありがとうございました! 寝室へ連れてって (後藤×女達海/ジャイアントキリング) ※「夢のランジェリー」後日談・後藤編。 風呂から上がった達海はシャツにスウェット姿で後藤の隣に座った。 「なあ、後藤、見てコレ」 ぐいっとシャツを引っ張った先には、純白に黒リボンがあしらわれた可愛らしいブラジャーに包まれた胸。 「な、何だ突然」 未だ清い関係の二人は、達海はともかく、後藤はちょっとした事で赤くなる。 「皆に選んでもらって買ったの。これは椿が選んだやつ」 可愛い?と聞いてくる達海に、可愛いから、分かったから胸元を隠してくれと後藤は懇願した。 「下も見る?お揃いだぜ」 「わ、わかった、わかったから」 見せなくていいから、と顔を赤くして背ける後藤に達海はちぇ、と舌打ちする。 「折角後藤のために着けて来たのに」 「気持ちは嬉しいが、今の俺には目に毒だ」 「妊娠中でもセックスしてもいいって本で読んだぜ?」 「それでも万が一があるから駄目だ。特にお前の場合は特殊なんだから」 それを言われると達海も弱い。 自分の身体を何処まで一般常識に当てはめていいのかわからないので、仕方なく襟元を引っ張るのを止めた。 「でもそれ、椿が選んだのか」 「他にもいっぱいあるぜ。椿と世良と赤崎と丹波と石神と堺で選んでもらった」 すると後藤は何だか複雑だ、と苦笑した。 「他の男が選んだ下着を着けてるって思うと、何となく、心の狭い事を考えてしまいそうだ」 後藤の言葉に達海はきょとんとした後、にやっと笑った。 「だったら後藤、脱がせてよ」 「えっ」 「他の男の選んだ下着なんて、お前の手で脱がせて」 ベッドへ連れてってよ。そう言って後藤の脚を跨いで座ると、後藤は面白いくらいに真っ赤になった。 「ば、ばか、だから駄目だって言ってるだろうが」 「途中までは?」 「駄目だ」 断られて、けれど達海は真っ赤になった後藤の姿で満足したのか、けーちと笑ってその赤い頬に口付けた。 *** ゴトタツ編だとこうなります。(笑) 好きを免罪符にして (持田×女達海/ジャイアントキリング) 好きな人が特殊な身体の持ち主だと知ったのは、告白した時だった。 先天性転換型両性具有。 テレビでしか耳にしたことの無いそれが、まさかこんな形で目の前に現れるとは。 けれど持田にとってそれはマイナスにはならなかった。 寧ろ、男の体も女の体も味わえてラッキーじゃね?とすら思った。 なので素直にそのまま相手に伝えると、彼は面白そうに笑った。 いいね、モッチー、お前のそういう所、好きだよ。 え、好きって事は、付き合ってもいいってことですか? そう聞き返すと、彼はうん、いいよ、と頷いた。 こんな俺でよければ付き合おうか、モッチー。 それが彼、達海猛との始まりだった。 達海との付き合いは、最初は順調だった。 普通にメールをして、電話をして、デートをして。 手も繋いだ、キスもした、男の体に限りセックスもした。 ただ一つだけ、達海は女の体でのセックスだけは拒んだ。 優しくします、と言っても彼はうんと言わない。 何がそんなに嫌なのかと聞けば、子供が出来たら困る、だそうだ。 彼らのような人たちは転換後の性別では生殖能力を持たないと何処かで聞いた気がするのだが。 しかし達海はそれを否定した。 大抵の人はそうだけれど、中には両方の生殖能力を持っている人もいる。 そして自分もまた、女としても機能しているから駄目だ、と。 けれど持田は諦めなかった。 何度も何度も強請って、強請って。 漸く、ゴムを二枚重ねでつけるなら、と許可を得た。 そうして初めて女の達海を抱いた後、持田はどうしてそこまでするのかと聞いた。 すると彼は当たり前のように言った。 今子供で来ても俺、育てられないもん。 今はフットボールが一番大事。だから子供は要らない。 そう言い切る達海に、でも達海さん、年齢的にそろそろ産んでおかないと産めなくなっちゃうよ、と言えば。 じゃあどっちにしてもいいや。産まない。そう笑った。 それから半月ほどして、達海は自分の身体に起こっている異変に気付いた。 身体が女から男に戻らない。 けれど達海はそれほど重要視しなかった。 最近忙しかったし、それでホルモンバランスが崩れたのだろう。 そう思って放置しておいた。 持田は女の体の達海の方が好きらしく、喜んでいたしまあ良いだろう、と楽観視していた。 しかし、一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が過ぎる頃には不審を抱くようになった。 長らく行っていなかった専門の病院へ行き、診察を受け、その結果に達海は驚愕した。 妊娠、している? ばかな、と思った。 あんなに気をつけていたのに、どうして。 持田に何と言えばいいのだろう。 帰り道、混乱した頭のまま歩いていると携帯が鳴った。 持田からだった。 病院、どうだったんすか。そう聞いてくる持田に、達海は言葉が詰まる。 達海さん?どうかしましたか。 訝しげな声で問う持田に、あのさ、と震えを抑えた声で言う。 子供、出来たって。 ごめん。どうしよう。 すると電話の向こうで持田は沈黙した。 たったの数秒の気もするし、数分にも感じた。そんな沈黙の後、持田は言った。 産んでよ、達海さん。 俺の子なんでしょ?だったら産んでよ。 俺、ガキは苦手だけど、達海さんと俺の子供なら愛せる。 だから産んでよ。お願い。お願いします。 携帯電話から聞こえてくる持田の声に、俺、産んでいいの、と達海は震える声をもう隠せなくなって聞いた。 産んでよ。子育て大変だろうけど、何とかなりますって。 持田の穏やかな声に、達海は何度も頷いた。 「それじゃあ、気をつけて来てくださいね」 通話を終え、持田は手の中の携帯電話をじっと見つめた。 「………」 達海さんが妊娠した。俺の子を、孕んだ。 「……やっ…」 みしっとボディが軋むほど手の中の携帯を握り締め、持田は叫んだ。 「…ったぁぁぁぁぁ!!」 いよっしゃあ!!持田は歓喜の雄たけびを上げ、リビング中をぐるぐると早足で歩き回る。 「達海さんが妊娠した!俺の子を!!!」 ひゃほう!と叫んで持田は寝室へと向かった。 そしてベッドにダイブし、サイドボードからいくつかのスキンの包みを取り出した。 よく見るとそのパッケージの真ん中には、小さな穴が開いている。 持田が予め針で穴を開けておいたものだ。 「こんな小さな穴でも成功するとはねぇ」 持田はにやにやとしながらそれをゴミ箱に放り捨てる。 もうこんなものは必要ない。目的は達成されたのだ。 「達海さんが悪いんだぜ」 サッカーが一番大事だと達海が言い切った時、持田の中で激しい嫉妬心が湧き上がった。 この人の心を何より占めているのはサッカーで、自分ではない。 それが持田には許せなかった。 どうしても達海が欲しかった。達海の心ごと、全てが欲しかった。 だから小細工をした。 達海が自分から離れられなくなるように、と。 「ああ、達海さん、早く来てよ」 そうしたら抱きしめて、二度と離さないから。 持田はうっとりと笑って目を閉じた。 *** 調子こいてモチニョタッツ書いてしまいました!持田最低だ!(笑) せっかくだから (後藤&女達海/ジャイアントキリング) ※「好きを免罪符にして」続編です。 その日、達海は後藤に全てを打ち明けた。 「子供が出来た…って本当なのか」 「そんなつまんない冗談言ってどうすんの」 ぽかんとして聞いてくる後藤にそう答えると、それもそうか、とどこか動揺の滲む声が返ってきた。 「それで、どうするんだ」 「産む事にした。幸い、出産予定日はオフ期だし」 「…簡単に言うが、本当に大丈夫なのか?」 後藤の心配そうな視線に、んーと達海は首を傾げる。 「こればっかりは俺もわかんない」 でもまあ、何とかなるよ。 気楽に笑えば、お前なあ、と後藤も苦笑する。 「まあ、色々と心配だが、お前がそう決めたならそれでいいさ。俺に出来ることがあれば言ってくれ」 「頼りになるね、後藤GM。愛してんぜ」 冗談めかして言えば、後藤は肩を竦めて言った。 「持田に聞かれたら殺されそうだな」 「じゃあ、二人だけの秘密ね」 そう言うと二人は顔を見合わせ、くすくすと笑った。 *** モチニョタッツでも後藤さんは出張ります。(爆) そして始まる (持田&??/ジャイアントキリング) ※「好きを免罪符にして」続編です。 とある保育園。 少女がお絵かきをしていると、入り口に一人の男が立った。 「真由香」 まゆか、と呼ばれた少女はぱっと顔を上げ、クレヨンを放り出して男の元へと駆けて行った。 「パパ!」 顔中を喜びの色に染め、飛び込んできた少女を男は抱き止め、よしよし、とその頭を撫でた。 「イイコにして待ってたか」 「まゆ、いいこにしてたよ」 「そうか。じゃあクレヨン片付けておいで。パパと一緒に帰ろうな」 「はあい」 クレヨンを片付けに戻っていく娘から傍らに立つ保育士に声をかける。 「真由香は今日もいい子でした?」 「ええ、とてもいい子でしたよ」 「じゃあ、たくさん誉めてやらないと、ですね」 「そうですね」 男が穏やかに笑うと保育士の女もつられて笑う。 「パパ、おかたづけおわったよ」 「そうか、じゃあ帰ろうか」 「せんせい、ばいばい」 「はい、まゆちゃん、ばいばい」 男は娘の手を引き、軽く会釈をして出て行った。 「今の、持田さん?」 すると他の子供を送り出していた同僚が声をかけてきた。 「最近奥さん見ないわね」 「もうすぐサッカーの試合が始まるからって聞いたけど?」 「ああ、それで」 「私も見に行ってみようかな、サッカー」 「ルールも知らないくせにぃ」 二人はけらけらと笑いながら子供たちの元へと戻っていった。 *** モチニョタッツ子供編のプロローグ的な。(書くつもりだコイツ) |