あいうえお題
離れないで、傍にいて (羽田×達海/ジャイアントキリング) 「ダメ。帰ったら怒る」 羽田の腰にへばりつきながら達海は唇を尖らせてそう言った。 「…お前明日練習だろ」 俺だって仕事だ、と続ければここから出勤して、と駄々を捏ねられた。 「我儘言うな」 「言って良いって言ったじゃん」 「限度ってモンがあるだろ!」 思わず声を荒げると、達海はちぇ、と羽田を放した。 「ったく…じゃあ帰るからな」 そう踵を返すと、くいっと引っ張られる感に羽田は足を止めざるを得なかった。 達海がシャツの裾を引っ張っていたのだ。 「おい」 「…帰って良いけど」 ぽそりと達海が言う。 「明日もまた来てくれる?」 上目遣いのそれに、羽田はちっと舌打ちをして達海の手を振り払った。 「…遅くなるようならメールする」 だから携帯忘れるんじゃねえぞ。 そう言い残して羽田は達海の部屋を出て行った。 その姿を見送った達海は机の下に転がった携帯電話を見つめ、嬉しそうに笑った。 *** 久しぶりのハタタツでした。「甘えんぼな君へ5のお題」の「気付いて、独りにしないで」続編みたいな。 ひたむきに傾倒 (深作×達海/ジャイアントキリング) 「ねえ、フカさん、縛って」 達海は快楽に対して貪欲で、興味の向いたことは何でも試したがった。 その中で最近ハマっているのが緊縛を初めとするSMプレイだった。 最初はネクタイを使っての目隠しや手首の拘束だったそれも、次第にエスカレートしていって。 達海はネット通販で購入してきた手枷や首輪を楽しげに広げ、深作にそれを使うよう強要する。 深作に虐げられることによって快楽を得ようとする達海の姿は酷く官能的だ。 それらを使う事に慣れてくると、じゃりりと鎖の鳴る音だけで身体の奥が疼くようになった。 低温蝋燭を垂らせばびくりと跳ねる身体に、最初こそ躊躇っていた深作も、やがてそれを楽しむようになった。 アームグローブで両腕を拘束したままフェラチオをさせたり、首輪に繋がった鎖を引いて身体を吊り上げたり。 けふりと喉を詰まらせて苦しむ達海の顔も、深作を罪悪感から背筋をゾクゾクとさせるものへと変えていく。 だって、達海の身体はこんなに悦んでるじゃないか。 自身をそそり立たせ、その先端からはだらだらと厭らしい汁を垂らして悦んでいる。 四つん這いにさせ、愛らしく深作を誘う尻たぶをスパンキングをすれば甲高い声を上げて白濁とした液を吐き出して果てた。 赤く色づいた尻たぶを掴んで開けば深作を待ち望んでひくつくアナルに喉を鳴らす。 そこに卵形のつるんとしたローターを押し込み、猛った自身を押し込むと達海は歓喜の声を上げた。 ローターのスイッチを入れ、それを押し込むようにして腰を動かせば達海は突き上げられる快感に涎を垂らして喜ぶ。 そのまま叩き付ける様に腰を動かして達海の中に精を吐き出した。 達海は深作の精液が中を満たす感覚が好きなようで、一滴も逃がさないというようにそこがきゅうと収縮する。 それがまた気持ちよくて、深作は達してからも暫くの間達海の中で余韻を堪能する。 上がった息を整えながら少しだけ、マズイんじゃないだろうかと思う。 このまま行けば、いつか取り返しのつかないことになりそうで。 けれど、拒めないのだ。 「フカさん、だいすき」 この瞳からは、逃れられない。 *** フカタツがとうとうここまで来ましたヨー。(視線逸らしつつ) 踏み出した一歩 (後藤×達海/ジャイアントキリング) 達海が日本へ帰ってきて、まず向かったのが後藤のマンションだった。 有里がホテルを用意すると言ったのを断り、達海は後藤のマンションに転がり込むことに成功した。 「へえ、片付いてんじゃん」 「まあ、男の一人暮らしなんてこんなもんだよ」 「あっちでの俺の部屋見ておいてそういうこと言う」 確かに最後の日に達海を迎えに行った後藤が見たのは、散らかったままの部屋だった。 「あの部屋、本当にあのままで良かったのか?」 「いーよ。ばーさんが掃除してくれるって言ってたし」 本当に必要なものはバック一つで事足りた。 日本を飛び出したときと同じく、達海は身軽な男だった。 「それより喉渇いた。何か無いの」 勝手にキッチンへ入り、冷蔵庫を開ける達海に変わってないな、と思う。 「ビールなら確かあったはずだぞ」 「んー…ってアレ」 「どうした?」 ひょいと一緒になって冷蔵庫を覗き込み、ああ、と後藤は苦笑した。 「…なんでドクペがあんの?」 後藤、好きじゃなかったはずだよね。 その問いに何と返して良いのか答えに窮していると、まあいいやと達海はその赤い缶を手に取った。 「これ、飲んでいい?」 「ああ」 達海はその場でしゅこっと音を立ててプルタブを引き、ぐいっと煽る。 「…うまい!」 「そうか、よかったな」 後藤は嬉しそうな達海に苦笑して冷蔵庫を閉めた。 *** 憂09その後。ドクペは達海が飲みました。 変な現象 (後藤×達海/ジャイアントキリング) お前が何処にいても、俺はお前を想っているよ。 そう言って絡めてきた小指は十年間、離れることは無かった。 けれど、後藤と再会した途端、達海の小指から後藤の小指は消えた。 それが少しだけ寂しくて。 隣に座った後藤の小指に自分の小指を絡める。 後藤がこちらを見た気配がしたけれど、黙って俯いているときゅっと後藤の小指が達海の小指を抱きしめた。 もうあの小指の幻は現れない。 だけどもういいのだ。 傍らには、いつだって後藤がいる。 だから、今までありがとう。 達海は心の中で小指の幻に礼を述べた。 *** 変な話ですみません。結01と05その後です。 本当は (深作←達海←松本/ジャイアントキリング) 「フーカさん!」 「ぎゃあああああ!!!」 背後から抱きしめられて深作が悲鳴を上げる。 最早見慣れた光景に誰もが笑ってそれを眺めていた。 そんな中、松本は同じ様に笑えていない自分に気付いた。 いつからだろう、あの光景を見るのが苦しくなったのは。 「はーなーせえええ!!!」 「いやんフカさん、怖がらないで…力を抜いて、俺に身を任せて…」 「妙な事を言うなあああ!!!」 身を捩って達海から逃れた深作は二度と近付くな!と怒鳴る。これもいつもの事だ。 「松っさんーフカさんが俺を拒むー」 よよよと抱きついてきた達海を抱きしめながら松本も深刻ぶった顔をする。 「おお可哀想に達海!俺にしておけ!」 「やだーフカさんがいいー!」 「達海は一途だなあー」 えーんと泣きまねをする達海の頭を撫でながら松本は笑い、内心でどうして、と叫ぶ。 どうして俺じゃダメなんだ。 「松本!お前が甘やかすから達海が調子付くんだよ!」 「えーだって俺、達海が可愛いしー」 「そうだよ松っさんは俺の味方だもん」 けけけと笑う達海と肩を組み、「そうだぞー深作ー」と松本は笑う。 「お前もいい加減諦めろよー」 そうすれば、俺も諦めが付くのに。 「誰が諦めるかあああ!!」 「フカさんひどーい!」 「はははは!」 笑顔の裏側で、松本はそんな事を考えている自分に失笑した。 *** マツタツの予定がフカタツが出張った。(爆) |